会社員の副業は確定申告が必要?収入別に解説する申告の基礎知識

会社員の副業は確定申告が必要?収入別に解説する申告の基礎知識

会社員として働きながら、空いた時間にスキルアップや収入増加を目指して副業を始める方が増えています。しかし、副業を始めるにあたって、確定申告について正しく理解しておくことは非常に重要です。本業の給与とは異なり、副業で得た収入には、自分で税金を計算し、申告する必要があるケースがあります。

例えば、Webデザインのスキルを活かして週末に副業を始めたAさんを考えてみましょう。Aさんは副業で年間30万円の収入を得たとします。この場合、Aさんは確定申告を行う必要があるのでしょうか?

この記事では、Aさんのようなケースを踏まえ、会社員の副業と確定申告の基礎知識について、収入別に分かりやすく解説していきます。確定申告が必要なケース、必要書類、手続き方法などを把握し、スムーズに申告を行いましょう。

副業と確定申告:基礎知識

まず、確定申告とは、1年間の収入と支出を記録し、その結果に基づいて所得税額を計算し、税務署に申告する手続きです 。会社員の場合、本業の給与から所得税が天引きされ、年末調整によって精算されますが 、副業で得た収入は、この年末調整の対象外となるため、確定申告が必要になる場合があります。  

確定申告が必要となるのは、副業で得た「所得」が年間20万円を超える場合です 。ここで重要なのは、「収入」と「所得」の違いです。「収入」とは、副業で実際に得た金額のことですが、「所得」とは、収入から経費を差し引いた金額を指します 。例えば、AさんがWebデザインの副業で30万円の収入を得て、パソコンやソフトの購入に5万円かかった場合、Aさんの所得は25万円となります。  

副業で得られる所得には、主に「事業所得」と「雑所得」の2種類があります 。事業所得とは、継続的に独立して事業を行うことで得られる所得で、AさんのようにWebデザインを請け負う場合などが該当します。一方、雑所得とは、事業所得以外の所得で、例えば原稿料や講演料などが該当します。これらの所得の種類によって、確定申告の方法や控除などが異なる場合があります。  

また、副業を行う上で、収入や経費を記録しておくことは非常に重要です 。確定申告の際に、これらの記録が根拠となります。帳簿をつける習慣をつけ、領収書などを保管しておきましょう。  

副業収入別の確定申告

副業収入が年間20万円以下の場合と、20万円を超える場合で、確定申告の必要性が異なります。それぞれ詳しく見ていきましょう。

副業収入が年間20万円以下の場合

副業収入が年間20万円以下の場合、原則として確定申告は不要です 。しかし、Aさんのように、副業で所得が20万円以下であっても、以下の場合は確定申告が必要になります 。  

  • 住宅ローン控除や医療費控除などを受けたい場合
  • 副業で所得税が源泉徴収されている場合
  • 副業で赤字が出ている場合(損失を翌年以降に繰り越せる場合があります )  
  • インボイス制度に登録しており、消費税の納税義務がある場合

副業収入が年間20万円を超える場合

副業収入が年間20万円を超える場合、確定申告が必要です 。確定申告を行う際には、以下の手順に従います 。  

  1. 副業の取引を帳簿に記録する
  2. 確定申告書を作成する
  3. 税務署に確定申告書を提出する

確定申告書の作成には、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を利用するのが便利です。このサイトでは、画面の案内に従って入力していくだけで、簡単に確定申告書を作成することができます。

また、副業で事業所得がある場合は、「青色申告」を選択することができます 。青色申告とは、複式簿記で帳簿をつけることで、最大65万円の青色申告特別控除など、様々な税制上のメリットを受けることができる制度です 。青色申告を行うためには、事前に税務署に「青色申告承認申請書」を提出する必要があります。  

個人事業主の場合

本業が個人事業主で、副業でさらに収入を得ている場合は、副業の所得額に関わらず確定申告が必要です 。本業の事業所得と副業の所得を合算して確定申告を行います。  

副業収入と税金:シミュレーション

副業収入が増えると、税金はどのくらい増えるのでしょうか? を参考に、簡単なシミュレーションを見てみましょう。  

例えば、本業の年収が400万円で、副業で60万円の収入を得た場合、所得税と住民税を合わせて年間約12万円の税金が追加でかかります。副業収入が100万円になると、年間約21万円の税金がかかります。このように、副業収入が増えるほど、税金の負担も大きくなるため、事前にしっかりと把握しておくことが重要です。

確定申告をしないとどうなる?

確定申告をせず、税金を納めなかった場合は、「無申告加算税」や「延滞税」などのペナルティが課せられます 。無申告加算税は、納付すべき税額に応じて、最大で30%が加算されます。延滞税は、納付期限を過ぎた日から納付する日までの日数に応じて計算されます。  

また、確定申告を怠ると、税務調査を受ける可能性もあります。税務調査では、過去の収入や経費などを詳しく調べられるため、適切な申告を行っていない場合は、追徴課税や重加算税などのペナルティが課せられる可能性があります。

確定申告に関するよくある質問

ここでは、確定申告に関するよくある質問とその回答をまとめました。

確定申告の時期と方法

確定申告はいつ、どのように行うのでしょうか?

確定申告の時期は、毎年2月16日から3月15日までです 。確定申告の方法には、以下の3つがあります。  

  • 税務署に直接提出する
  • 郵送で提出する
  • e-Taxで電子申告する

e-Taxを利用する場合は、マイナンバーカードとICカードリーダライタ、またはマイナンバーカード対応のスマートフォンが必要です。e-Taxは、自宅やオフィスから24時間いつでも申告手続きを行うことができるため、大変便利です。

副業の種類と確定申告

副業の種類によって、確定申告の必要性や方法が変わるのでしょうか?

はい、副業の種類によって所得区分が異なり、確定申告の必要性や方法も変わります 。例えば、アルバイトやパートは給与所得 、フリーランスの仕事は事業所得や雑所得に分類されます 。それぞれの所得区分に応じた方法で確定申告を行う必要があります。  

必要書類と控除

確定申告に必要な書類は何ですか?また、利用できる控除はありますか?

確定申告に必要な書類は、以下のとおりです 。  

  • 確定申告書
  • 源泉徴収票
  • 収入・経費を証明する書類(請求書、領収書など)
  • 控除を受ける場合は、控除証明書など

確定申告では、医療費控除や住宅ローン控除など、様々な控除を利用することができます 。控除を受けることで、税金を減らすことができます。  

税金に関する知識

確定申告で税金を計算する際に、知っておくべきことはありますか?  

確定申告では、所得税と住民税を計算する必要があります。所得税は、国に納める税金で、収入から経費や控除を差し引いた所得金額に応じて税率が決まります 。住民税は、住んでいる都道府県と市町村に納める税金で、所得税と同様に所得金額に応じて税額が決まります 。  

まとめ

この記事では、会社員の副業と確定申告について解説しました。副業で得た所得が年間20万円を超える場合、確定申告が必要となります。確定申告は、税務署への直接提出、郵送、e-Taxのいずれかの方法で行うことができます。確定申告に必要な書類や控除、税金の計算方法などを理解し、正しく申告を行いましょう。

副業を始めることは、収入増加だけでなく、スキルアップや自己成長にも繋がる素晴らしい機会です。確定申告についても正しく理解し、安心して副業に挑戦しましょう。

確定申告についてご不明な点がある場合は、税務署や税理士などの専門家にご相談ください。

確定申告に関する相談窓口

  • 国税庁:https://www.nta.go.jp/
  • 税務署:お住まいの地域の税務署にお問い合わせください。
  • 税理士:税理士会にご相談ください。

参考資料

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