アルバイトをしていると、旅行や急な用事などで休みたい時、「有給休暇が使えたら…」と思うことはありませんか? 実は、アルバイトやパートでも、正社員と同様に一定の条件を満たせば有給休暇を取得することができます。
今回は、アルバイトの有給休暇について、取得条件や日数の計算方法、注意点などをわかりやすく解説していきます。 有給休暇の制度を正しく理解して、アルバイトでもきちんと休暇を取得し、プライベートを充実させましょう。
アルバイトでも有給休暇は取得できる?
結論から言うと、アルバイトでも有給休暇は取得できます。
労働基準法では、正社員かアルバイト・パートといった雇用形態に関わらず、一定の条件を満たした労働者に対して、有給休暇を付与することが義務付けられています。有給休暇は、労働者の心身の健康を維持し、より良い労働環境を作るために設けられた制度です。 アルバイトだからといって、この権利を軽視することはできません。
有給休暇を取得できる条件
アルバイトが有給休暇を取得するには、以下の2つの条件を満たす必要があります。
- 6か月以上継続して勤務していること
- 同じ職場で半年以上働き続けていることが条件です。
- 所定労働日の8割以上出勤していること
- 契約で定められた勤務日のうち、8割以上出勤している必要があります。
- 例えば、週5日勤務で、6か月間の所定労働日数が120日の場合、96日以上出勤していれば条件を満たします。[59]
- 遅刻や早退をしても、1日出勤したとみなされます。
- 業務上の怪我や病気、育児休業・介護休業なども出勤として扱われます。
有給休暇の付与日数
有給休暇の付与日数は、週の所定労働日数と勤務年数によって異なります。
比例付与について
アルバイトやパートのように、週の所定労働日数が少ない場合は、比例付与という方法で有給休暇の日数が計算されます。 これは、週5日勤務の正社員と比べて、勤務日数が少ない分、有給休暇の日数も少なくなるという考え方です。
週5日以上、週30時間以上勤務している場合
週5日以上、週30時間以上勤務している場合は、6か月勤務で10日、1年6か月勤務で11日、2年6か月勤務で12日、3年6か月勤務で14日、4年6か月勤務で16日、5年6か月勤務で18日、6年6か月以上勤務で20日の有給休暇が付与されます。
週4日以下の場合
週の所定労働日数が週4日以下の場合は、勤務年数と、1年間の所定労働日数によって付与日数が決まります。
例えば、週4日勤務で1年間の所定労働日数が169~216日の場合は、半年勤務で7日、1年6か月勤務で8日、2年6か月勤務で9日、3年6か月勤務で10日、4年6か月勤務で12日、5年6か月勤務で13日、6年6か月以上勤務で15日の有給休暇が付与されます。
週3日勤務で1年間の所定労働日数が121~168日の場合は、半年勤務で5日、1年6か月勤務で6日、2年6か月勤務で6日、3年6か月勤務で8日、4年6か月勤務で9日、5年6か月勤務で10日、6年6か月以上勤務で11日の有給休暇が付与されます。
週2日勤務で1年間の所定労働日数が73~120日の場合は、半年勤務で3日、1年6か月勤務で4日、2年6か月勤務で4日、3年6か月勤務で5日、4年6か月勤務で6日、5年6か月勤務で6日、6年6か月以上勤務で7日の有給休暇が付与されます。
週1日勤務で1年間の所定労働日数が48~72日の場合は、半年勤務で1日、1年6か月勤務で2日、2年6か月勤務で2日、3年6か月勤務で2日、4年6か月勤務で3日、5年6か月勤務で3日、6年6か月以上勤務で3日の有給休暇が付与されます。
正社員からパート社員になった場合
正社員からパート社員になった場合でも、既に付与されている有給休暇はそのまま引き継がれます。 パートから正社員に転換する際、一度形式的に退社した場合でも、有給休暇の算定上の勤続年数は通算して計算されます。
有給休暇の算定期間
有給休暇の付与日数を計算するための期間は、以下の通りです。
- 雇入れ後最初に付与される有給休暇:雇入れ日(就業開始日)から起算して6か月間
- 2回目以降に付与される有給休暇:付与日の前1年間
有給休暇の計算方法
有給休暇を取得した際の賃金は、以下のいずれかの方法で計算されます。 いずれの方法で計算するかは、会社によって異なります。 就業規則や雇用契約書を確認するか、会社に問い合わせてみましょう。
- 通常の賃金から算出する
- 普段の勤務時と同じように計算する方法です。
- 時給制の場合は、1日の所定労働時間 × 時給で計算します。
- 平均賃金から算出する
- 過去3か月間の賃金の平均を元に計算する方法です。 多くの場合、この方法が採用されています。
- 以下の2つの計算式のうち、金額が高い方が適用されます。
- 過去3か月間の賃金総額 ÷ 過去3か月間の暦日数
- 過去3か月間の賃金総額 ÷ 過去3か月間の総労働日数 × 労働日数
- 標準報酬日額から算出する
- 社会保険料の計算に用いられる標準報酬月額を日割りで計算した金額です。
- 標準報酬月額は、収入に応じて等級が分けられており、等級ごとに金額が異なります。
- 標準報酬日額を用いるには、労使協定を結ぶ必要がある場合があります。
時間単位で有給休暇を取得する場合
有給休暇を時間単位で取得することもできます。その場合の賃金は、1日あたりの給与を時間給に換算して計算します。
アルバイトが有給休暇を取得する際の注意点
アルバイトが有給休暇を取得する際には、以下の点に注意しましょう。
- 申請方法
- 就業規則や会社のルールに従って申請する必要があります。
- 一般的には、口頭で伝えるか、申請書を提出します。
- 会社によっては、申請期限を設けている場合があります。
- 取得時期
- 原則として、いつでも取得できますが、会社の繁忙期などは避けるのがベターです。
- 長期休暇や退職時の取得など、まとめて取得したい場合は、早めに相談しましょう。
- 時季変更権
- 会社は、従業員が希望する日に有給休暇を取得することで、事業の正常な運営を妨げられる場合、時季を変更することができます。
- ただし、時季変更権を行使できるのは、正当な理由がある場合に限られます。
- 「忙しいから」「人が足りないから」といった理由だけでは、認められません。
- 有給休暇は2年間有効
- 付与された有給休暇は、2年間有効です。
- 2年以内に消化しないと、消滅してしまいます。
- 会社は有給休暇の取得を拒否できない
- アルバイトであっても、条件を満たしていれば、会社は有給休暇の取得を拒否することはできません。
- 有給休暇を取得する理由を伝える必要はない
- 有給休暇を取得する際に、会社に理由を伝える義務はありません。
- 「私用のため」で問題ありません。
- 会社は有給休暇の取得を促す義務がある
- 年10日以上の有給休暇が付与されている労働者に対して、会社は年5日以上の有給休暇を取得させる義務があります。
- 会社とのコミュニケーション
- 採用時から、有給休暇に関する会社のルールや制度について、きちんと説明を受けるようにしましょう。
- わからないことがあれば、積極的に質問するなど、会社とコミュニケーションをとることが大切です。
まとめ
この記事では、アルバイトの有給休暇について解説しました。
アルバイトでも、正社員と同様に有給休暇を取得できる権利があります。 取得条件を満たしている場合は、積極的に有給休暇を取得しましょう。 有給休暇は、労働者にとって心身のリフレッシュやプライベートの充実のために重要な権利です。
会社は、アルバイトの有給休暇取得を拒否することはできません。 また、年5日以上の有給休暇を取得させる義務があります。 アルバイトの有給休暇取得を促進するため、会社は就業規則の整備や取得しやすい環境づくりに取り組む必要があります。
有給休暇を取得する際は、会社のルールに従って申請を行いましょう。 また、取得時期や時季変更権についても理解しておくことが大切です。
有給休暇を有効活用して、仕事とプライベートのバランスをとりながら、充実した毎日を送りましょう。