はじめての退職、お金の不安を解消しませんか?
20代で初めての退職。新しいキャリアへの期待と同時に、「次の仕事が見つかるまで、生活はどうしよう…」「手続きが難しそうで不安」といったお金の悩みを抱えていませんか?
その不安を安心に変えてくれるのが「雇用保険制度(失業手当)」です。
この記事は、まさに今そんな状況にいる20代のあなたのために書きました。専門用語を極力なくし、「結局、私はいつから、いくら、どのくらいの期間もらえるの?」という疑問に、どこよりも分かりやすくお答えします。
この記事を読めば、この3つが分かります。
- あなたが失業手当をもらえるか、簡単な条件チェック
- あなたの状況に合わせた、もらえる金額と期間の目安
- 初めてでも迷わない、手続きの全ステップ
特に、2025年4月からの重要な制度改正にも完全対応しています。正しい知識を身につけて、安心して次のキャリアへ踏み出しましょう。
【超入門】そもそも雇用保険(失業手当)とは?
難しく考える必要はありません。雇用保険(一般的に失業手当と呼ばれるもの)とは、「会社を辞めてから次の仕事に就くまでの間の生活を支えてくれる、公的なセーフティーネット」のことです。
あなたが会社員として働いている間、毎月お給料から天引きされていた「雇用保険料」。実はこれ、万が一の失業に備えるための保険料だったのです。
20代のあなたにとっては、キャリアチェンジやスキルアップのための時間を確保してくれる、心強い味方になります。
あなたはもらえる?受給資格の3つの条件
失業手当をもらうためには、基本的に以下の3つの条件をすべて満たす必要があります。
条件1:保険に入っていた期間が十分にあること
原則として、会社を辞める日以前の2年間で、雇用保険に入っていた期間が合計12ヶ月以上必要です。
- ポイント:「合計で12ヶ月」なので、途中で転職していても、前の会社と今の会社の期間を合算できます。
- 例外:会社の倒産や、正当な理由のない解雇(会社都合退職)などの場合は、辞める日以前の1年間で合計6ヶ月以上あればOKです。
条件2:働く意思と能力があるのに、仕事に就けない状態であること
「すぐにでも働きたいけど、就職先が決まらない」という状態であることが前提です。そのため、以下のような方は対象外となります。
- 病気やケガですぐに働けない
- 妊娠・出産・育児に専念する
- しばらく休養するつもり
- 学業に専念する学生
- 次の就職先がすでに決まっている
条件3:ハローワークで求職の申し込みをしていること
失業手当をもらうためには、お住まいの地域を管轄するハローワークへ行き、「仕事を探しています」という意思表示(求職の申し込み)をする必要があります。
退職理由で大違い!もらえる時期と金額が変わる
失業手当は、会社を辞めた理由によって、もらい始められるタイミングやもらえる期間が変わります。これはとても重要なポイントです。
自己都合退職|キャリアアップや人間関係での退職
自分の意思で退職届を出した場合です。20代では、以下のような理由が考えられます。
- 新しい業界や職種にチャレンジしたい(キャリアチェンジ)
- もっと条件の良い会社に転職したい
- 仕事内容が自分に合わなかった
- 職場の人間関係に悩んでいた
この場合、「給付制限」という待機期間があります。
【超重要:2025年4月からのルール変更!】
- 現在(~2025年3月まで):給付制限は「2ヶ月」
- 2025年4月1日から:給付制限が「1ヶ月」に短縮!
これは大きな変更です。これまでより1ヶ月も早く手当がもらえるようになるため、生活の見通しが立てやすくなります。
会社都合退職|倒産や解雇など
会社の都合によって、やむを得ず退職せざるを得なかった場合です。
- 会社の倒産、事業所の閉鎖
- 突然の解雇(リストラ)
- 給料の大幅な減額や未払い
- 長時間の残業(例:3ヶ月連続で月45時間を超えるなど)
- 上司や同僚からのハラスメント
この場合は、給付制限がなく、7日間の待期期間が終わればすぐに手当が支給されます。 もらえる日数も自己都合退職より長くなるなど、手厚く保護されます。
特定理由離職者|やむを得ない自己都合
自分の意思での退職ですが、「やむを得ない事情」があったと認められるケースです。
- 病気やケガで仕事が続けられなくなった
- 家族の介護が必要になった
- 結婚や配偶者の転勤に伴い、引っ越しが必要になった
この場合も、会社都合退職と同様に給付制限はありません。
【簡単シミュレーション】あなたは、いくらもらえる?
一番気になるのが「結局、自分はいくらもらえるの?」という点ですよね。ここでは、計算の仕組みと20代向けの具体例を見ていきましょう。
失業手当の計算は3ステップ
失業手当の金額は、退職直前の給料を元に計算されます。
ステップ1:あなたの「賃金日額」を計算する
退職する直前6ヶ月間のお給料(賞与は除く)の合計を、180で割ります。
- 計算式:(退職前6ヶ月の給与総額)÷ 180 = 賃金日額
ステップ2:1日あたりの支給額「基本手当日額」を計算する
ステップ1で計算した賃金日額に、50%~80%の給付率を掛けます。この給付率は、お給料が低い人ほど高くなる仕組みです。
- 計算式:賃金日額 × 給付率(50%~80%) = 基本手当日額
ステップ3:もらえる総額を計算する
1日あたりの支給額に、もらえる日数を掛ければ総額が分かります。
- 計算式:基本手当日額 × もらえる日数(所定給付日数) = 支給総額
20代のモデルケースで見てみよう!
- 設定: 25歳、勤続3年、自己都合退職
- 退職前の月給: 22万円(賞与除く)
ステップ1:賃金日額
(22万円 × 6ヶ月)÷ 180日 = 7,333円
ステップ2:基本手当日額
賃金日額が7,333円の場合、給付率は約66%になります。
7,333円 × 66% ≒ 4,839円
(※上限額があるため、実際の金額とは多少異なります)
ステップ3:支給総額
自己都合退職で勤続3年の場合、もらえる日数は90日です。
4,839円 × 90日 = 435,510円
このケースでは、総額で約43万円の失業手当がもらえる計算になります。
あなたがもらえる日数は?【所定給付日数】
もらえる日数は、退職理由と雇用保険に加入していた期間、年齢によって決まります。
自己都合退職の場合
- 加入期間1年以上5年未満:90日
- 加入期間5年以上10年未満:120日
- 加入期間10年以上20年未満:150日
会社都合退職の場合(30歳未満)
- 加入期間1年未満:90日
- 加入期間1年以上5年未満:90日
- 加入期間5年以上10年未満:120日
- 加入期間10年以上20年未満:180日
初めてでも安心!失業手当をもらうまでの7ステップ完全ガイド
「手続きが面倒くさそう…」と心配しなくても大丈夫。一つひとつのステップを順番にこなしていけば、誰でも手続きできます。
ステップ1:会社から「離職票」を受け取る
退職後、1~2週間ほどで会社から「離職票-1」と「離職票-2」という2種類の書類が郵送されてきます。これが手続きに必須の最重要書類です。
ステップ2:ハローワークで初回手続きをする
必要な持ち物を持って、あなたの住所を管轄するハローワークへ行きます。
【持ち物チェックリスト】
- 雇用保険被保険者離職票(1と2)
- マイナンバーカード(または通知カード+運転免許証など)
- 証明写真2枚(タテ3cm×ヨコ2.5cm)
- 本人名義の預金通帳またはキャッシュカード
- 印鑑(認印でOK)
ステップ3:7日間の「待期期間」
手続きをした日から7日間は、誰もが手当をもらえない「待期期間」となります。この期間は失業している状態である必要があります。
ステップ4:雇用保険説明会に参加する
手続きから約1~2週間後に開催される説明会に参加します。ここで「雇用保険受給資格者証」と「失業認定申告書」が渡されます。
ステップ5:「給付制限期間」(自己都合退職の場合のみ)
自己都合退職の場合、待期期間終了後、さらに1ヶ月(2025年3月までは2ヶ月)の給付制限期間があります。この期間は手当が支給されません。
ステップ6:最初の「失業認定日」にハローワークへ
手続きから約4週間後、最初の「失業認定日」がやってきます。ハローワークへ行き、「失業認定申告書」を提出して、失業状態であることの認定を受けます。
ステップ7:手当が振り込まれる!
無事に認定されると、通常5営業日ほどで指定した口座に失業手当が振り込まれます。以降は、原則4週間に1度のペースで認定日があり、その都度手当が振り込まれる流れです。
20代が本当に知りたいQ&A
Q. 1年未満で辞めたら絶対にもらえない?
A. 自己都合退職の場合はもらえません。 原則として、雇用保険の加入期間が1年以上必要です。ただし、会社の倒産や解雇といった会社都合退職の場合は、加入期間が6ヶ月以上あればもらえる可能性があります。
Q. 受給中にアルバイトはしてもいいの?
A. 条件を守ればOKです。 ただし、いくつかルールがあります。
- 必ず事前にハローワークに相談・申告する。
- 待期期間の7日間はアルバイトをしない。
- 週20時間未満に抑えること(20時間以上働くと「就職」とみなされます)。
収入があった日は失業手当が減額されたり、支給が先送りされたりしますが、正直に申告することが何より大切です。
Q. ハローワークってどんな雰囲気?なんだか行きづらい…
A. 大丈夫、怖くありません! ハローワークは、あなたの再就職をサポートしてくれる公的な機関です。失業手当の手続きはもちろん、キャリア相談に乗ってくれたり、求人を紹介してくれたり、面接対策のセミナーを開催していたりします。初めてで不安なことを伝えれば、職員の方が丁寧に教えてくれますよ。
まとめ:雇用保険を味方につけて、次の一歩へ
初めての退職は、誰にとっても不安なものです。しかし、雇用保険という制度は、そんなあなたの挑戦を経済的に支えてくれる力強い味方です。
最後に、大切なポイントをまとめます。
- 雇用保険は、次の仕事を見つけるまでの生活を支えるお守り。
- 2025年4月から、自己都合退職の給付制限が1ヶ月に短縮され、より使いやすくなる。
- もらえる金額や期間は、退職前の給料と辞めた理由で決まる。
- 手続きは難しくない。ステップ通りに進めれば大丈夫。
退職後の期間は、ただの空白期間ではありません。自分と向き合い、次のキャリアをじっくり考えるための貴重な準備期間です。この制度を賢く活用し、焦らず、あなたのペースで最高の再スタートを切ってください。応援しています!