人生100年時代の転機。50代からの退職・廃業、ひとりで悩んでいませんか?
「50代で会社を辞めた」「事業をたたむことになった」…
先行きへの不安から、眠れない夜を過ごしている方もいらっしゃるかもしれません。
2024年の企業休廃業・解散は過去最多の約7万件に迫り、特に50代の廃業者が増加しているというデータもあります。これは、もはや他人事ではない社会的な課題です。
しかし、ご安心ください。日本には、あなたが再スタートを切るために利用できる、手厚い公的支援制度が数多く存在します。多くの人が「失業手当(雇用保険)」しか知りませんが、実はそれ以外にも、生活の基盤となる家賃を補助してくれる制度や、税金・保険料が大幅に減免される制度があるのです。
この記事では、厚生労働省などの最新情報に基づき、50代の退職者・廃業者が使える12の主要な公的支援制度を、どこよりも分かりやすく解説します。2025年の法改正情報も盛り込んだ完全ガイドです。
この記事を読めば、あなたが今すぐ使える制度が見つかり、経済的な不安を解消して、次の一歩を踏み出すための具体的な道筋が見えてくるはずです。
【全体像】失業手当だけじゃない!退職者が使える公的支援制度12選
まずは、どのような制度があるのか全体像を把握しましょう。支援制度は大きく4つのカテゴリーに分けられます。
1. 失業給付・就職支援(スキルアップも応援)
- 失業手当(雇用保険基本手当): 退職後の生活を支える基本の給付。
- 求職者支援制度: 雇用保険がもらえない方向け。月10万円+職業訓練。
- 教育訓練給付金: スキルアップ費用を最大80%補助。2024年10月から拡充!
- 傷病手当金: 病気やケガで働けない場合に。退職後も継続できる可能性あり。
2. 税金・保険料の減免(負担を大きく減らす)
- 国民健康保険料の減免: 所得に応じて最大70%も軽減される重要制度。
- 住民税の減免・猶予: 前年の所得で課税される住民税の負担を軽減。
- 国民年金保険料の免除・猶予: 将来の年金額への影響を抑えつつ、保険料負担がゼロに。
- 高額療養費制度: 医療費が高額になった際の自己負担を抑える。
3. 住まい・生活の支援(セーフティネット)
- 住居確保給付金: 最も重要な制度の一つ。家賃相当額を支給。
- 生活福祉資金貸付制度: 無利子または低利で生活資金を借りられる。
- 生活保護制度: 最後のセーフティネット。
- フードバンク等の生活支援: 食料などの現物支給。
【最重要】50代退職者がまず検討すべき3つの支援制度
数ある制度の中でも、特に経済的インパクトが大きく、多くの50代退職者・廃業者が対象となる可能性が高い3つの制度を詳しく解説します。
1. 住居確保給付金(家賃を国が補助)
退職後の最大の不安は「住まい」ではないでしょうか。この制度は、離職や廃業によって家賃の支払いが困難になった方に対し、自治体が家賃相当額を支給してくれる非常に重要な制度です。
- 支給額の目安
- 東京都特別区:単身世帯 53,700円/月、2人世帯 64,000円/月
- ※支給額は自治体や世帯人数によって異なります。
- 支給期間
- 原則3ヶ月(最大9ヶ月まで延長可能)
- 主な対象者
- 離職・廃業から2年以内の方
- 世帯収入や預貯金が一定額以下の方
- ハローワーク等で求職活動を行う方
- ポイント
- 個人事業主の「廃業者」も対象です。
- 失業手当など、他の給付金と併用できます。
- 申請窓口は、お住まいの自治体の「自立相談支援機関」です。まずは電話で相談してみましょう。
2. 国民健康保険料の減免制度(保険料が7割減も)
会社を辞めると、多くの方は国民健康保険に加入します。しかし、前年の所得を基準に計算されるため、高額な請求に驚くケースが少なくありません。この負担を大幅に軽減できるのが減免制度です。
- 非自発的失業者の軽減
- 倒産・解雇・雇い止めなど会社都合で離職した方が対象です。
- 前年の給与所得を「30/100」として計算してくれるため、保険料が実質的に約70%も軽減されます。
- 対象期間は離職日の翌日から翌年度末まで。
- 所得減少による減免
- 自営業を廃業した方や、自己都合退職の方はこちら。
- 所得の減少率に応じて、保険料が30%〜100%減免されます。
- ※減免の基準は自治体によって大きく異なります。
- 申請窓口
- お住まいの市区町村役場の「保険年金課」など。
- 申請しないと適用されないため、退職後はすぐに相談することが重要です。
3. 求職者支援制度(月10万円もらいながらスキルアップ)
「雇用保険(失業手当)がもらえない…」と諦めるのはまだ早いです。自営業を廃業した方や、雇用保険の加入期間が足りなかった方でも、この制度を使えば生活支援を受けながら再就職を目指せます。
- 支給内容
- 職業訓練受講手当:月額10万円
- 通所手当:交通費(上限あり)
- 寄宿手当:月額10,700円(条件あり)
- 主な対象者
- 雇用保険を受給できない求職者
- 本人収入が月8万円以下、世帯収入が月30万円以下など、一定の要件を満たす方
- ポイント
- ハロートレーニング(公的職業訓練)を無料で受講できます。
- IT、介護、事務など、多様なコースから選べます。
- 50代からのキャリアチェンジを国が金銭的に支援してくれる制度です。
- 申請窓口
- 住所地を管轄するハローワーク
まだある!状況別に見る強力な支援制度
スキルを磨いて再就職を目指すなら
教育訓練給付金【2024年10月大幅拡充】
働きながら、あるいは退職後に専門的なスキルや資格を取得したい方を支援する制度です。
- 専門実践教育訓練給付金
- デジタル、AI、看護、介護などの専門講座が対象。
- 受講費用の最大70%(2024年10月からは80%に拡充)が支給されます。
- 特定一般教育訓練給付金
- 介護職員初任者研修、大型自動車免許などが対象。
- 受講費用の最大40%(2024年10月からは50%に拡充)が支給されます。
病気やケガで働けない場合に
傷病手当金(退職後継続給付)
在職中に病気やケガで休業していた場合、退職後も引き続き給付を受けられる可能性があります。
- 支給額: 給与(標準報酬日額)の約3分の2
- 支給期間: 最長で通算1年6ヶ月
- 継続の条件: 健康保険の加入期間が1年以上あること、退職日にも休業していることなど。
将来の不安を減らすなら
国民年金保険料の免除・猶予制度
失業や廃業により保険料の納付が困難な場合、申請すれば保険料が免除・猶予されます。
- 失業による特例免除: 退職した事実を証明できれば、本人の所得を除外して審査されるため、承認されやすくなります。
- 将来の年金額: 全額免除期間も、保険料を納めた場合の2分の1の額が年金額に反映されるため、未納にするより断然有利です。
申請の順番が重要!50代廃業者のモデルプラン
どの制度から手をつければいいか分からない、という方のために、申請の優先順位とモデルプランをご紹介します。
申請の優先順位
- 【最優先】住居確保給付金: 生活の土台である住まいを確保。申請期限(離職後2年以内)があるため、最優先で相談しましょう。
- 【第2優先】国民年金保険料の免除: 将来の年金を守るため。手続きを忘れると「未納期間」となり、将来の受給額が減ってしまいます。
- 【第3優先】国民健康保険料の減免: 毎月の大きな固定費を削減。
- 【第4優先】求職者支援制度 or 失業手当: 次の仕事を見つけるまでの生活費を確保。
効果的な併用パターン
これらの制度は、多くが併用可能です。例えば、
「住居確保給付金」+「国民健康保険料減免」+「国民年金免除」
この3つを組み合わせるだけで、家賃と社会保険料の負担が大幅に軽減され、月々10万円近い負担減になるケースもあります。
Q&A|50代退職者・廃業者からよくある質問
Q1. 個人事業主(自営業)を廃業しました。失業手当はもらえますか?
A1. 原則として、個人事業主は雇用保険の対象外のため、失業手当は受給できません。ただし、廃業する前に会社員として働いていた期間があり、受給資格が残っている場合は例外的に受給できる可能性があります。詳しくはハローワークにご相談ください。失業手当がもらえない場合は、「求職者支援制度」の活用を検討しましょう。
Q2. 退職後の健康保険は、会社の保険を任意継続するのと、国民健康保険に加入するの、どちらがお得ですか?
A2. 多くの場合、国民健康保険に加入し、減免制度を適用する方が保険料は安くなります。 任意継続は、在職中の保険料(会社負担分も含む全額)を最大2年間払い続ける制度です。退職後、すぐに市区町村役場で両方の保険料を試算してもらい、比較検討することをおすすめします。
Q3. 2025年4月から雇用保険が改正されると聞きました。どんな影響がありますか?
A3. 最も大きな変更点は、自己都合で退職した場合の給付制限期間が2ヶ月から1ヶ月に短縮されることです。これにより、これまでより早く失業手当を受け取れるようになります。ただし、これは雇用保険の加入者が対象のため、自営業を廃業した方への直接的な影響は限定的です。
まとめ:一人で抱え込まず、まずは相談から始めよう
50代での退職や廃業は、人生の大きな転機です。経済的な不安は計り知れないものがあるでしょう。
しかし、日本には、あなたが再び立ち上がるのを支えるための公的支援制度がこれだけ用意されています。大切なのは、「知っていること」そして「行動すること」です。
何から手をつけていいか分からない場合は、まずお住まいの自治体にある「自立相談支援機関」に電話をしてみてください。そこでは、あなたの状況を親身に聞き、住居確保給付金の申請をはじめ、利用できる様々な制度を一緒に探してくれます。
この記事が、あなたの不安を少しでも和らげ、未来への希望を見出す一助となれば幸いです。あなたは一人ではありません。利用できる制度を賢く活用し、新しい一歩を踏み出しましょう。