高齢化社会が進む日本では、介護を必要とする人が増加しており、介護福祉士は大変重要な役割を担っています。 介護福祉士は、高齢者や障がい者の生活をサポートするやりがいのある仕事です。この記事では、介護福祉士の仕事内容、資格取得方法、将来性、やりがいと大変な点、必要なスキル、給与・待遇、そして介護福祉士を目指す人へのアドバイスなどを詳しく解説していきます。
1. 介護福祉士の仕事内容
介護福祉士は、高齢者や障がい者の方々が、その人らしく生活を送れるよう、身体介護や生活援助を通して支援する専門職です。 具体的な仕事内容としては、以下のようなものがあります。 介護福祉士の仕事内容は、主に直接体に触れて行う「身体介助」、家事全般のお手伝いをする「生活援助」、要介護者の家族に対して家庭介護のアドバイスや介護用具を使う際の指導などです。
身体介護
- 食事介助: 利用者の状態に合わせて、食事の配膳、食べさせ、飲み込みのサポートなどを行います。
- 入浴介助: 洗髪、洗顔、体洗いなど、安全に入浴できるよう介助します。
- 排泄介助: トイレへの誘導、おむつ交換、排泄の介助などを行います。
- 着替え介助: 衣服の着脱をサポートします。
- 移動介助: 歩行が困難な方の移動を、車椅子や歩行器などを用いてサポートします。
- 体位変換: 床ずれを予防するため、定期的に体の向きを変えます。
生活援助
- 調理: 栄養バランスを考慮した食事を作ります。
- 洗濯: 衣類やシーツなどの洗濯を行います。
- 掃除: 部屋の掃除や整理整頓を行います。
- 買い物: 生活に必要な物品の買い物を代行します。
その他
- レクリエーションやリハビリテーションの支援: 利用者の心身機能の維持・向上を目的としたレクリエーションやリハビリテーションを企画・実施します。
- 介護計画の作成: 利用者の状態やニーズを把握し、ケアマネジャーと連携して適切な介護計画を作成します。
- 家族との連携: 家族の介護負担を軽減するため、介護に関する相談や情報提供を行います。
- 関係機関との連携: 医師や看護師、理学療法士など、他の専門職と連携して、利用者に必要なサービスを提供します。
介護福祉士は、利用者一人ひとりの状況に合わせて、きめ細やかなケアを提供することが求められます。 また、介護の現場では、チームで協力して仕事をすることが重要になります。
2. 介護福祉士の資格取得方法
介護福祉士の国家資格を取得するには、主に以下の2つのルートがあります。
(1) 介護福祉士養成施設ルート
- 高等学校卒業後、介護福祉士養成施設(専門学校、短期大学、大学など)に入学します。
- 介護福祉士養成施設で3年間の養成課程を修了し、卒業します。
- 介護福祉士国家試験の筆記試験を受験します。
- 筆記試験に合格後、実技試験を受験します。
- 実技試験にも合格すると、介護福祉士の資格を取得できます。
(2) 実務経験ルート
- 介護の仕事に3年以上従事します。(実務経験の内容は、法律で定められています。)
- 介護福祉士国家試験の筆記試験を受験します。
- 筆記試験に合格後、実技試験を受験します。
- 実技試験にも合格すると、介護福祉士の資格を取得できます。
介護福祉士国家試験について
- 試験内容:筆記試験と実技試験があります。
- 筆記試験: 介護に関する知識を問う問題が出題されます。試験時間は1時間40分と2時間で、1問1点の125点満点です。
- 実技試験: 実際の介護技術を評価する試験です。
- 合格率: 例年、約70%です。
- 試験時期:筆記試験は1月下旬、実技試験は3月上旬に実施されます。
3. 介護福祉士の将来性
高齢化が加速する日本では、介護福祉士の需要はますます高まっています。 厚生労働省の推計によると、2025年には約243万人、2040年には約280万人の介護福祉士が必要とされています。 これは、2025年問題、2040年問題と呼ばれる、生産年齢人口の減少と高齢者人口の増加による介護人材不足が深刻化するためです。 2025年問題とは、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となり、医療や介護の需要が急増すると予想される問題です。2040年問題とは、少子高齢化がさらに進み、労働力人口が減少することで、社会保障制度の維持が困難になると予想される問題です。 これらの問題により、介護福祉士の需要はますます高まっていくと考えられます。
介護福祉士のキャリアパス
介護福祉士として経験を積むことで、様々なキャリアパスを描くことができます。
- 介護現場でのキャリアアップ:
- リーダー、主任、施設長など、管理職への昇進
- 専門分野を深め、スペシャリストとして活躍 (認知症ケア、リハビリテーション、ターミナルケアなど)
- 介護教員として、後進の育成に貢献
- 介護以外の分野へのキャリアチェンジ:
- 社会福祉士、精神保健福祉士などの資格を取得し、福祉の専門職として活躍
- 医療分野、教育分野、行政分野など、介護の経験を活かせる分野へ転身
4. 介護福祉士のやりがい・大変な点・必要なスキル
やりがい
介護福祉士の仕事は、人の役に立つことができる、感謝されることが多い、利用者の笑顔を見ることができるなど、多くのやりがいがあります。 利用者の生活を支え、その人らしい暮らしをサポートすることで、大きな達成感を得られます。 また、利用者やその家族との信頼関係を築くことができ、温かい人間関係の中で働くことができます。
- ある介護福祉士の方は、 「寝たきりだった方が、リハビリテーションを通して歩けるようになった時、本当に嬉しかったです。その方の笑顔を見た時、この仕事のやりがいを改めて感じました。」と語っています。
大変な点
介護の仕事は、肉体的にも精神的にも負担が大きい場合があります。 長時間労働や夜勤、休日出勤など、体力的に厳しい面もあります。 また、利用者の死や病気、認知症の進行など、精神的に辛い場面に遭遇することもあります。
- ある介護福祉士の方は、「夜勤明けで疲れている時に、利用者の方とトラブルが起こってしまい、精神的に辛かった。」と語っています。
必要なスキル
介護福祉士として働くためには、様々なスキルが必要です。
コミュニケーション能力: 利用者やその家族、他の職員と円滑にコミュニケーションをとるために、傾聴力、empathy、表現力などが求められます。
観察力: 利用者の状態を正確に把握するために、表情、行動、言葉などから変化を読み取る観察力が必要です。
介護技術: 食事、入浴、排泄などの介助を安全かつ適切に行うための技術が必要です。
知識: 高齢者や障がい者に関する知識、介護保険制度に関する知識、医療に関する知識などが必要です。
忍耐力: 困難な状況に遭遇しても、冷静に、そして粘り強く対応できる忍耐力が必要です。
体力: 介護の仕事は体力勝負な面もあるため、体力が必要です。
問題解決能力: 介護現場では、様々な問題が発生します。状況を把握し、適切な解決策を見つけ出す能力が必要です。
チームワーク: 他の職員と協力して、利用者にとってより良いケアを提供するために、チームワークを大切にすることが重要です。
5. 介護福祉士の給与・待遇
給与
介護福祉士の平均年収は約397万円です。 平均月収は約33万円です。 資格を持たない介護職員の平均年収は約322万円であるため、介護福祉士の資格を取得することで、年収アップが見込めます。 ただし、給与は勤務先や経験年数、役職などによって異なります。
介護福祉士の資格を取得することで、年収アップが見込めます。令和4年度の平均年収は以下の通りです。
- 介護福祉士:397万円
- 介護職員実務者研修:363万円
- 介護職員初任者研修:360万円
- 無資格:322万円
待遇
介護福祉士の待遇は、勤務先によって異なりますが、一般的には以下のものが挙げられます。
- 社会保険完備(健康保険、厚生年金、雇用保険、労災保険)
- 退職金制度
- 資格取得支援制度
- 住宅手当
- 家族手当
- 夜勤手当
- 残業手当
勤務時間
介護福祉士の勤務時間は、勤務先や職種によって異なります。
- シフト制勤務: 早番、遅番、夜勤など、様々な時間帯の勤務があります。 以下はシフトの例です。
- シフト①:8時~17時(8時間勤務、1時間休憩)
- シフト②:9時~18時(8時間勤務、1時間休憩)
- 日勤のみの勤務: デイサービスや訪問介護などでは、日勤のみの勤務も可能です。
夜勤がある場合は、夜勤手当が支給されます。 また、残業が発生する場合は、残業手当が支給されます。
6. 介護福祉士を目指す人へのアドバイス
介護福祉士は、高齢化社会において非常に重要な役割を担う、やりがいのある仕事です。 もしあなたが、人の役に立ちたい、社会貢献したいという気持ちを持っているなら、介護福祉士は最適な職業と言えるでしょう。
介護福祉士を目指すにあたって、以下のアドバイスを参考にしてください。
- 介護の仕事についてよく調べる: 介護の仕事には、様々な種類があります。自分に合った働き方を見つけるために、様々な施設や事業所を調べてみましょう。 実際に介護施設でボランティアやアルバイトをしてみることもおすすめです。
- コミュニケーション能力を磨く: 介護の仕事では、利用者やその家族とのコミュニケーションが非常に重要になります。 日頃から、周りの人とコミュニケーションをとることを意識し、コミュニケーション能力を磨きましょう。
- 体力をつける: 介護の仕事は、肉体的にきつい面もあります。 体力をつけるために、運動を習慣化したり、健康的な食生活を心がけたりしましょう。
- 資格取得に向けて計画的に勉強する: 介護福祉士の国家試験は、合格率が約70%と決して簡単な試験ではありません。 計画的に勉強を進め、しっかりと準備をしましょう。 過去問を解いたり、模擬試験を受けたりするのも効果的です。 また、最近は毎年のように受験資格や試験内容が改正されているため、最新の情報を確認するようにしましょう。
- 介護の現場で働く人の話を聞く: 実際に介護の現場で働いている人の話を聞くことで、仕事のやりがいや大変な点、必要なスキルなどを具体的に知ることができます。 介護福祉士の先輩からアドバイスをもらったり、現場の雰囲気を感じたりするのも良いでしょう。
7. 参考になるウェブサイトや書籍
- ウェブサイト
- 書籍
- 中央法規出版「介護福祉士国家試験 模擬問題集2025」
- 中央法規出版「らくらく暗記マスター 介護福祉士国家試験2025」
- 中央法規出版「ケア手帳 〈2025〉」
まとめ
この記事では、介護福祉士の仕事内容、資格取得方法、将来性、やりがいと大変な点、必要なスキル、給与・待遇、そして介護福祉士を目指す人へのアドバイスなどを詳しく解説しました。高齢化社会が進む日本では、介護福祉士は必要不可欠な存在です。介護福祉士の仕事には、肉体的・精神的な負担もありますが、人の役に立つことができるという大きなやりがいがあります。 介護福祉士の資格を取得することで、キャリアアップやキャリアチェンジの道も広がります。
この記事が、介護福祉士を目指す方の参考になれば幸いです。