マイナ保険証はデメリットしかないって本当!?個人情報や医療費への影響を解説

マイナ保険証はデメリットしかないって本当!?個人情報や医療費への影響を解説

近年、政府主導で推進されているマイナンバーカードと健康保険証の一体化、いわゆる「マイナ保険証」。利便性向上や医療の質向上などが期待される一方で、個人情報の取り扱い、医療費への影響、システムトラブルなど、様々な懸念点が指摘されています。

本記事では、マイナ保険証導入の背景やメリットを踏まえつつ、デメリットや注意点、そして代替手段となる「資格確認書」について詳しく解説していきます。

マイナ保険証とは?

マイナ保険証とは、マイナンバーカードに健康保険証の機能を搭載したものです。従来の健康保険証と同様に、医療機関や薬局で保険診療を受ける際に使用します。 顔認証付きカードリーダーにマイナンバーカードをかざすことで、資格確認や医療情報の参照などが行われます。 また、マイナ保険証を使えば、自身の健康保険の資格情報を簡単に確認することができます。  

政府は、医療のデジタル化を推進し、国民の利便性向上と医療の質向上を図ることを目的として、マイナ保険証の普及を進めています。 災害時など、避難所で過去の診療情報や薬剤情報などを医師と共有できるよう、実証事業も実施されています。  

マイナ保険証導入のメリット

マイナ保険証の導入により、以下のようなメリットが期待されています。  

  • 転職・結婚・引越しなどによる保険証の切り替えがスムーズになる
  • 過去の診療情報や薬剤情報などを医療機関と共有することで、より適切な医療を受けられる
  • 高額療養費制度の利用がスムーズになる
  • マイナポータルで医療費通知情報を取得し、医療費控除の確定申告が簡単になる

マイナ保険証に関する世論の動向

マイナ保険証については、国民の間で賛否両論があります。 多くの国民がマイナ保険証の内容を認知している一方で、利用を検討したことがある人は半数にとどまります。 世論調査では、個人情報の取り扱いに対する懸念から、マイナ保険証の利用に反対する意見が多く見られました。 利用意向が低い背景には、個人情報の取り扱いに対する不安や、システムトラブルへの懸念などが考えられます。   

専門家の意見

専門家の間でも、マイナ保険証に対する意見は分かれています。 一部の専門家は、医療のデジタル化による効率化や質向上を期待する一方で、個人情報保護やシステムの安全性など、課題も多く残されていると指摘しています。 三菱総合研究所の専門家は、国民の信頼を得るためには、マイナ保険証で何ができるのかを周知するだけでなく、国民にメリットを実感してもらう必要があると述べています。 また、国民への十分な説明や理解促進が重要であるとの意見も出ています。  

全国保険医団体連合会は、介護施設におけるマイナ保険証の利用について、施設側が利用者のパスワード管理まで行うのは大きな負担となり、対応が困難であるという懸念を表明しています。  

マイナ保険証のデメリット

マイナ保険証には、期待されるメリットだけでなく、以下のようなデメリットや懸念点も存在します。

個人情報の取り扱い

マイナ保険証を利用することで、氏名、生年月日、性別、住所などの基本情報に加え、医療情報や薬剤情報などもオンラインで管理されることになります。 これにより、以下のような懸念が生じています。  

  • 情報漏洩のリスク:マイナンバーカードやオンライン資格確認システムのセキュリティ対策が万全ではなく、情報漏洩のリスクが懸念されます。 あなたの大切な医療情報が、システムの不具合によって漏洩してしまう可能性も否定できません。  
  • プライバシーの侵害: 過去の診療情報や薬剤情報などが、本人の同意なしに医療機関や行政機関に共有される可能性があります。  
  • 個人情報の一元管理: 政府による個人情報の一元管理につながり、プライバシーの侵害や監視社会につながる可能性が懸念されています。  

政府は、マイナンバー制度において、制度面・システム面双方で様々な安全管理措置を講じていると主張しています。 具体的には、マイナンバーだけでは手続きができないようにする、情報を分散管理する、システムへのアクセス制御を行う、通信を暗号化するなどの対策を挙げています。 また、独立性の高い第三者機関である個人情報保護委員会が監視・監督を行い、故意にマイナンバーを含む個人情報を提供した場合には厳罰を適用するとしています。  

医療費への影響

マイナ保険証の利用によって、従来の自己負担割合が変わることはありません。 しかし、医療機関側では、オンライン資格確認システムの導入や運用に費用がかかり、その負担が医療費に転嫁される可能性があります。 また、医療DX推進体制整備加算という名目で、医療機関のマイナ保険証利用率に応じて患者側に加算される医療費も新設されました。 この加算は、マイナ保険証を利用する・しないに関わらず、オンライン資格確認システムを導入している医療機関であれば一律で請求されます。 医療機関のマイナ保険証利用率が高いほど加算額も高くなるため、結果的に医療費負担が増加する可能性があります。  

システムトラブル

オンライン資格確認システムやマイナポータルなど、マイナ保険証に関連するシステムは、トラブルや不具合が発生する可能性があります。 システムトラブルが発生した場合、医療機関での受付に時間がかかったり、医療情報が正しく参照できなかったりするなどの問題が生じる可能性があります。 また、マイナンバーカードを紛失した場合、再発行されるまでマイナ保険証を利用することができません。  

対応していない医療機関

一部の医療機関では、オンライン資格確認システムを導入していない、またはマイナ保険証に対応していない場合があります。 その場合、マイナ保険証を利用することができず、従来の健康保険証や資格確認書が必要になります。 受診前に、医療機関のホームページなどで対応状況を確認しておくようにしましょう。  

高齢者などへの配慮

高齢者や障害者など、マイナンバーカードの操作やオンライン手続きに不慣れな方にとっては、マイナ保険証の利用が難しい場合があります。 また、顔認証がうまくいかない場合や、暗証番号を忘れてしまった場合など、医療機関での受付に支障をきたす可能性もあります。  

マイナ保険証導入を検討する上での注意点

マイナ保険証の導入を検討する際には、以下の点に注意する必要があります。

  • 個人情報の取り扱い: マイナンバーカードの管理やオンライン資格確認システムの利用規約などをよく確認し、個人情報の取り扱いについて理解しておく必要があります。
  • システムトラブル: システムトラブルが発生した場合の対応や、代替手段について確認しておく必要があります。
  • 医療機関の対応: 受診する医療機関がマイナ保険証に対応しているか事前に確認しておく必要があります。
  • 高齢者などへの配慮: 高齢者や障害者など、マイナ保険証の利用に不安がある場合は、医療機関や行政機関に相談する必要があります。

マイナ保険証の代替手段:資格確認書

マイナンバーカードを取得していない、またはマイナ保険証を利用したくない場合は、「資格確認書」を利用することができます。 資格確認書は、従来の健康保険証と同様に、医療機関や薬局で保険診療を受ける際に使用することができます。 なお、マイナンバーカードの取得は任意です。  

資格確認書は、以下のいずれかに該当する方が交付対象となります。  

  • マイナンバーカードを保有していない方
  • 健康保険証としての利用登録をされていない方
  • マイナンバーカードでの受診等が困難な要配慮者(高齢者、障害者等)

まとめ

マイナ保険証は、利便性向上や医療の質向上などが期待される一方で、個人情報の取り扱い、医療費への影響、システムトラブルなど、様々な懸念点も指摘されています。特に、情報漏洩やプライバシー侵害のリスク、医療費負担の増加、システムトラブル発生時の対応などは、十分に検討する必要があります。

もし、これらの懸念点からマイナ保険証の利用に不安を感じる場合は、代替手段として「資格確認書」を利用することも可能です。自身の状況や考えに合わせて、最適な選択をするようにしましょう。

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