退職後の健康保険は任意継続と国保どっちが得?年収別シミュレーションで比較

退職すると会社の健康保険から外れるため、自分で健康保険に加入する必要があります。選択肢は主に3つですが、多くの方が迷うのが「任意継続」と「国民健康保険(国保)」のどちらが安いかです。

結論を先に言うと、前年の年収が高い人ほど任意継続が得、低い人は国保が得になる傾向があります。ただし扶養家族の有無でも大きく変わるため、両方の保険料を試算して比較するのが確実です。

【結論】3つの選択肢を一覧比較

選択肢 保険料の特徴 扶養制度 手続き期限
任意継続 退職時の標準報酬月額ベース(上限あり) あり(追加保険料なし) 退職翌日から20日以内
国民健康保険 前年の所得ベース(自治体により異なる) なし(家族分も保険料が発生) 退職翌日から14日以内
家族の扶養に入る 0円 退職後すぐに届出

家族の扶養に入れる場合は圧倒的にお得です。ただし、失業保険を受給中(日額3,612円以上)は扶養に入れないため、その期間は任意継続か国保を選ぶ必要があります。

任意継続と国保の保険料を年収別に比較

前提条件

  • 40歳未満・単身・東京都の自治体在住
  • 任意継続は協会けんぽ(東京支部)の料率で試算
  • 国保は東京都の平均的な保険料率で概算
前年の年収(額面) 任意継続(月額目安) 国保(月額目安) お得な方
250万円 約12,000円 約10,000円 国保
350万円 約17,000円 約16,000円 国保(僅差)
450万円 約22,000円 約24,000円 任意継続
550万円 約27,000円 約32,000円 任意継続
700万円以上 約30,000円(上限) 約40,000円以上 任意継続

ポイント: 任意継続には保険料の上限があります。標準報酬月額の上限が設定されているため、年収が高い人ほど実際の収入に対して割安になります。

扶養家族がいる場合は任意継続が圧倒的に有利

任意継続では、配偶者や子どもを扶養に入れても保険料は変わりません。一方、国保は家族一人ひとりに保険料がかかります。

例:配偶者+子ども1人がいる場合

前年の年収 任意継続(月額) 国保(月額)
450万円 約22,000円 約30,000円以上
600万円 約28,000円 約42,000円以上

→ 扶養家族がいると国保のほうが月1万円以上高いケースが多くなります。

任意継続のメリット・デメリット

メリット

  • 退職前と同じ保険証・同じ給付内容が使える
  • 扶養家族の保険料が不要
  • 年収が高い場合、保険料の上限があるため国保より安くなる
  • 保険証がすぐに届く(手続きがスムーズ)

デメリット

  • 最長2年間しか加入できない
  • 保険料は退職時の標準報酬月額で2年間固定(退職後に収入が下がっても安くならない)
  • 保険料の納付期限が厳格(1日でも遅れると資格喪失)
  • 退職翌日から20日以内に手続きしないと加入できない

国民健康保険のメリット・デメリット

メリット

  • 加入期限に余裕がある(届出は14日以内だが、遡って加入可能)
  • 退職後に収入が減れば翌年の保険料が下がる
  • 会社都合退職の場合、保険料が大幅に軽減される制度あり
  • 任意継続の2年が終わった後の受け皿になる

デメリット

  • 扶養の概念がない(家族分の保険料が加算される)
  • 前年の所得が高いと保険料が高額になる
  • 自治体によって保険料が大きく異なる(引っ越しで変動)

重要:会社都合退職なら国保が大幅に安くなる

特定受給資格者・特定理由離職者(会社都合退職・雇い止め等)の場合、国保の保険料を計算する際に前年の給与所得を30/100に軽減して算定する制度があります。

この減免を使えば、年収450万円の方でも国保の保険料が月1万円以下になるケースもあります。会社都合退職の方は国保のほうが圧倒的にお得です。

どちらが得か判断するフローチャート

1. 家族の扶養に入れる? → YES → 扶養一択(保険料0円) 2. 会社都合退職? → YES → 国保(軽減制度で大幅に安い) 3. 扶養家族がいる? → YES → 任意継続が有利な可能性大 4. 前年の年収が400万円以上? → YES → 任意継続が有利な傾向 5. 上記いずれも該当しない国保が有利な傾向

最終的な判断は、両方の保険料を具体的に試算して比較するのが確実です。

手続きの流れと期限

任意継続の手続き

  • 期限: 退職翌日から20日以内(厳守。1日でも過ぎると加入不可)
  • 届出先: 退職前に加入していた健康保険組合または協会けんぽ
  • 必要書類: 任意継続被保険者資格取得申出書、退職日がわかる書類

国民健康保険の手続き

  • 期限: 退職翌日から14日以内が届出期限(遅れても遡って加入は可能だが、その間の医療費は全額自己負担のリスクあり)
  • 届出先: 住所地の市区町村役所
  • 必要書類: 健康保険資格喪失証明書、本人確認書類、マイナンバーがわかるもの

よくある質問(FAQ)

Q1. 任意継続と国保、途中で切り替えられますか?

任意継続から国保への切り替えは可能です。 2022年の法改正で、任意継続は本人の申出で脱退できるようになりました。最初は任意継続に加入し、翌年(退職後に収入が下がった年)に国保に切り替えるという戦略も有効です。

逆に国保から任意継続への切り替えはできません(加入期限の20日以内が過ぎているため)。

Q2. 退職してからどのくらいで保険証が届きますか?

  • 任意継続: 手続き完了後、通常1〜2週間で届く
  • 国保: 役所の窓口で手続きすれば即日〜数日で交付

届くまでの間に病院に行く場合は、後日保険証を持参すれば差額を返金してもらえます。

Q3. 退職後すぐに転職する場合はどうすればいいですか?

次の会社に入社すれば、その会社の健康保険に加入します。退職から入社まで1日でも空白がある場合は、その間の健康保険を自分で確保する必要があります。短期間でも任意継続か国保に加入しておくのが安全です。

Q4. 国保の保険料は自治体のどこで調べられますか?

市区町村の国保窓口に前年の源泉徴収票を持参すれば、保険料を試算してもらえます。自治体のWebサイトにシミュレーターが用意されている場合もあります。

Q5. 失業保険を受給中はどちらがいいですか?

失業保険の受給中は扶養に入れない(日額3,612円以上の場合)ため、任意継続か国保の二択になります。会社都合退職なら国保(軽減制度あり)、自己都合退職で年収が高かった方なら任意継続が一般的に有利です。

まとめ

  • 家族の扶養に入れるなら最優先(保険料0円)
  • 会社都合退職なら国保が軽減制度で大幅に安い
  • 扶養家族がいるなら任意継続が有利(家族分の保険料不要)
  • 前年の年収が高いなら任意継続(保険料上限あり)
  • 任意継続の手続き期限は退職翌日から20日以内(厳守)
  • 迷ったら両方の保険料を試算して比較するのが確実

次のステップ: 退職が決まったら、(1) 協会けんぽまたは健保組合に任意継続の保険料を確認、(2) 住所地の市区町村に国保の保険料を確認。両方の金額を比べて判断しましょう。退職前に確認しておくと安心です。

※保険料は加入する健保組合や自治体によって異なります。この記事の金額はあくまで目安です。正確な金額は各窓口でご確認ください。