失業手当(雇用保険の基本手当)を受け取るために必須の手続きである「失業認定申告書」の提出。初めて書く方はもちろん、2回目以降の方でも「この書き方で合っているかな?」と不安になることはありませんか?
特に、アルバイトをした日の収入の申告や、求職活動実績の書き方など、間違えやすいポイントがいくつか存在します。もし記入内容に不備があると、手当の支給が遅れたり、最悪の場合、不正受給とみなされたりする可能性もゼロではありません。
この記事では、2024年の最新情報に基づき、失業認定申告書の書き方を誰にでも分かりやすく、ステップバイステップで徹底解説します。
- 初回、2回目以降、就職が決まった時など、状況別の書き方
- アルバイトや内職をした場合の収入の正しい申告方法
- 求職活動として認められる活動・認められない活動の具体例
- よくある質問と、提出前の最終チェックリスト
この記事を最後まで読めば、あなたはもう失業認定申告書の書き方で迷うことはありません。見本に沿って進めるだけで、誰でもカンタンに、そして正確に書類を完成させることができます。安心して手続きを進め、スムーズに失業手当を受給しましょう。
そもそも失業認定申告書とは?
まずは基本からおさらいしましょう。「失業認定申告書」がどのような役割を持つ書類なのかを理解することが、正確な記入への第一歩です。
失業手当(基本手当)をもらうための重要書類
失業認定申告書とは、あなたが「失業の状態」にあることをハローワークに申告し、失業手当(基本手当)の支給を受けるために必要不可欠な書類です。
この申告書には、前回の認定日から今回の認定日までの期間について、以下の内容を正直に記入します。
- 仕事(アルバイト、内職、手伝いなど)をしたかどうか
- 仕事をした場合は、その収入額
- 再就職のために、どのような求職活動を行ったか
ハローワークは、この申告書の内容を確認し、あなたが失業手当の受給資格を満たしているかを判断します。つまり、この書類がなければ、手当を受け取ることはできません。
手続きの流れ:提出は4週間に1度の「失業認定日」
失業手当の受給手続きは、以下のような流れで進みます。
- ハローワークで求職の申し込みをし、「雇用保険受給資格者証」を受け取る。
- 指定された日時に開催される「雇用保険受給者初回説明会」に参加する。
- 原則として4週間(28日)に1回、指定された「失業認定日」にハローワークへ行く。
- 「失業認定申告書」と「雇用保険受給資格者証」を提出し、「失業の認定」を受ける。
- 認定が下りると、後日、指定の口座に失業手当が振り込まれる。
このサイクルを、所定給付日数が終了するか、再就職が決まるまで繰り返すことになります。失業認定申告書は、この手続きの心臓部とも言える重要な書類なのです。
【パターン別】失業認定申告書の書き方を6ステップで完全解説
ここからは、実際の申告書を見ながら書いているような感覚で理解できるよう、各欄の書き方を具体的に解説していきます。黒のボールペンを用意して、一緒に進めていきましょう。
ステップ1:就労・内職の有無を記入する【カレンダー部分】
申告書の左上にあるカレンダーの部分です。前回の認定日の翌日から、今回の認定日の前日までの期間について、仕事(就労、内職、手伝い)をしたかどうかを記入します。
ポイントは「1日の労働時間が4時間以上か、4時間未満か」です。
- 1日4時間以上働いた日
- 該当する日付に「〇」をつけます。
- この場合、その日は「就職または就労」とみなされ、その日の分の失業手当は支給されません(支給が先送りになる)。
- 1日4時間未満働いた日
- 該当する日付に「×」をつけます。
- この場合、その日は「内職または手伝い」とみなされます。収入額によっては手当が減額されることがありますが、働いたこと自体で不支給にはなりません。
- 何も働いていない日
- 何も記入する必要はありません。
ステップ2:収入があった場合の詳細を申告する
ステップ1でカレンダーに「×」をつけた日(4時間未満の労働)のうち、収入があった日について詳細を記入する欄です。
- 収入のあった日付
- 収入額(所得税などを引かれる前の総支給額)
- 何日分の収入か
この欄は正直に、正確に記入することが非常に重要です。もし収入があったにもかかわらず申告しなかった場合、「不正受給」と判断される可能性があります。給料がまだ支払われていなくても、働くことが確定し、収入を得る権利が発生した時点で申告が必要です。
ステップ3:求職活動の実績を具体的に記入する【最重要】
失業手当を受けるためには、「積極的に仕事を探している」という事実、つまり「求職活動実績」を示す必要があります。この欄は、その実績を具体的にアピールする最も重要な部分です。
【求職活動として認められる活動の例】
- 求人への応募(面接、書類選考など)
- ハローワークでの職業相談、職業紹介
- ハローワークなどが実施する各種セミナー、講習への参加
- 許可・届出のある民間職業紹介機関での職業相談、求人応募
- 再就職に役立つ国家試験、検定等の資格試験の受験
【求職活動として認められない活動の例】
- ハローワークや新聞、インターネットで求人情報を閲覧しただけ
- 知人に仕事の紹介を依頼しただけ
- 転職サイトや求人情報サイトに登録しただけ
活動内容を記入する際は、「いつ」「どこで」「何をしたか」が具体的に分かるように書きましょう。
(例)
- 活動日: 〇月〇日
- 活動方法: ハローワークでの職業相談
- 活動内容: 株式会社△△の求人について相談し、応募書類の添削を受けた
ステップ4:ハローワークからの仕事紹介に応じられるか
「ハローワークから仕事を紹介された場合、すぐに応じられますか?」という質問です。原則として、すぐに働く意思があることを示すために「応じられる」に丸をつけます。
もし「応じられない」に丸をする場合は、病気やケガ、冠婚葬祭など、正当な理由とその期間を具体的に記入する必要があります。
ステップ5:就職・自営の予定を伝える
就職や自営業を開始することが決まっているか、またはその予定があるかを申告する欄です。
- 決まっていない場合:「しない」に丸をつけます。
- 決まっている場合:「する」に丸をつけ、就職先(事業所名)、就職日などを記入します。
就職が決まった場合の詳細は、後ほど詳しく解説します。
ステップ6:署名欄を記入して完成
最後に、署名欄です。
- 失業の認定日: 申告書をハローワークに提出する日付を記入します。
- 氏名: 自分で署名します。
- 支給番号: 「雇用保険受給資格者証」に記載されている番号を転記します。
これで申告書の記入は完了です。提出前に、記入漏れや間違いがないか必ず確認しましょう。
【状況別】ここは押さえたい!3つのケース別・記入ポイント
失業認定申告書の書き方は、提出するタイミングによって注意すべきポイントが異なります。「初回」「2回目以降」「就職決定時」の3つのケースに分けて、特に重要な点を確認していきましょう。
ケース1:初めて提出する「初回」の書き方
求職の申し込みをしてから約1ヶ月後、最初の認定日がやってきます。初回の申告で特に重要なのは「求職活動実績の回数」です。
- 会社都合で退職した場合(特定受給資格者など)
- 初回認定日までに必要な求職活動実績は原則1回以上です。
- ただし、多くの場合は認定日より前に開催される「雇用保険受給者初回説明会」への参加が1回の実績としてカウントされるため、実質的に追加の活動は不要となるケースがほとんどです。
- 自己都合で退職した場合(一般受給資格者)
- 待期期間(7日間)満了後、さらに2ヶ月または3ヶ月の「給付制限期間」があります。
- 給付制限期間とその後の認定対象期間を合わせて、初回認定日までに原則として3回以上の求職活動実績が必要です。(※給付制限期間が2ヶ月の方は2回以上の場合もあります。ご自身の管轄のハローワークの指示に従ってください。)
- 初回説明会も1回としてカウントできますが、それ以外にあと2回、自分で求職活動を行う必要があります。
ケース2:「2回目以降」の書き方と注意点
2回目以降の認定日では、前回の認定日から今回の認定日の前日までの期間について申告します。
- 必要な求職活動実績は原則2回以上です。
- ただし、自己都合退職で給付制限期間中の方は、認定期間によって3回以上の実績が必要になる場合があります。
計画的に求職活動を進め、認定日までに必要な回数をクリアしておくことが大切です。ハローワークでの職業相談は、実績作りだけでなく、効果的な転職活動にも繋がるため積極的に活用しましょう。
ケース3:「就職が決まった」時の特別な書き方
失業手当の受給中に就職が決まった場合は、最後の失業認定申告書を提出する必要があります。これを「就職の申告」といい、通常の書き方に加えて特別な記入が必要です。
- ステップ5の欄:「就職または自営」の「する」に丸をつけます。
- 就職先の情報:事業所名、所在地、電話番号、就職日(入社日)を正確に記入します。
- 提出タイミング:就職日の前日にハローワークへ行き、手続きをするのが一般的です。持参するものは、失業認定申告書、雇用保険受給資格者証、採用証明書などです。事前にハローワークに電話で確認するとスムーズです。
この手続きを正しく行うことで、一定の条件を満たせば「再就職手当」が支給される可能性があります。
ここで間違うと損をする!よくある記入ミスと注意点
良かれと思ってやったことが認められなかったり、うっかりミスで支給が遅れたりするのは避けたいものです。ここでは、特に間違いやすいポイントを3つに絞って解説します。
注意点1:アルバイト収入の申告漏れは「不正受給」に
最も注意すべき点が、収入の申告です。
「少額だから大丈夫だろう」「手渡しだからバレないだろう」といった安易な考えで申告を怠ると、後に不正受給と判断され、厳しいペナルティ(受け取った手当の3倍の金額の返還命令など)が科されることがあります。
- 4時間未満の労働でも、収入があれば必ず申告する
- 給料が未払いでも、働くことが決まった時点で申告する
- ポイントや現物支給なども収入とみなされる場合がある
迷った場合は、必ずハローワークの職員に相談しましょう。正直に申告することが、あなた自身を守る最善の方法です。
注意点2:「求人を見るだけ」は実績にならない
「毎日、転職サイトをチェックしているのに…」と感じるかもしれませんが、残念ながら求人情報をただ眺めているだけでは求職活動実績とは認められません。
重要なのは「応募」や「相談」といった、具体的なアクションを伴っていることです。
求人への応募はもちろん、ハローワークや民間の転職エージェントに相談する、オンラインセミナーに参加するなど、認められる活動を計画的に行いましょう。
注意点3:基本的な記入ルールを守る
細かい点ですが、基本的なルールを守ることも大切です。
- 筆記用具: 必ず黒のボールペンで記入します。消せるボールペンや鉛筆は使用できません。
- 訂正方法: 書き間違えた場合は、修正液や修正テープは使わず、間違えた箇所に二重線を引き、その上から訂正印(認印で可)を押して、近くの余白に正しく記入します。
- 署名日: 署名欄の日付は、実際にハローワークへ提出する認定日の日付を記入します。事前に書かないようにしましょう。
失業認定申告書はどこで手に入る?紛失した場合の対処法
失業認定申告書は、認定日ごとに新しい用紙が必要になります。入手方法と、万が一なくしてしまった場合の対処法を知っておきましょう。
基本はハローワークで受け取る
失業認定申告書は、通常、以下のタイミングでハローワークから直接受け取ります。
- 初回分: 雇用保険受給者初回説明会で配布されます。
- 2回目以降: 認定日にハローワークで失業の認定を受けた後、次回の認定日用の新しい申告書が渡されます。
紛失時はネットでダウンロード・印刷も可能
「次の認定日までに申告書をなくしてしまった!」という場合でも、慌てる必要はありません。
ハローワークインターネットサービスのウェブサイトから、失業認定申告書の様式(PDFファイル)をダウンロードして印刷することができます。
ただし、このPDFファイルはパソコンで直接文字を入力することはできない仕様になっています。必ず印刷してから、手書きで記入してください。
失業認定申告書の書き方でよくある質問(Q&A)
最後に、多くの方が疑問に思う点をQ&A形式でまとめました。
Q1. 初回と2回目で書き方はどう違いますか?
A1. 記入する項目自体は同じですが、必要な求職活動実績の回数が異なります。特に自己都合で退職された方は、初回認定日までに原則3回以上の実績が必要となるため注意が必要です。2回目以降は原則2回以上となります。
Q2. アルバイトをしたら、必ず申告しないといけませんか?
A2. はい、必ず申告が必要です。1日の労働時間が4時間未満で収入が少額であっても、申告義務があります。申告を怠ると不正受給とみなされるリスクがあるため、正直に記入してください。
Q3. 求職活動の実績が足りない場合はどうなりますか?
A3. 原則として、その認定期間に対応する失業手当は「不支給」となります。ただし、やむを得ない理由がある場合などはハローワークの判断によります。実績が足りないからといって虚偽の申告をすることは絶対にやめましょう。足りない場合は、正直にその旨を窓口で相談することが重要です。
Q4. オンライン(電子申請)で提出できますか?
A4. 2024年6月現在、失業認定申告書のオンライン提出はできません。必ず指定された認定日にハローワークへ出向き、窓口で直接提出する必要があります。
まとめ:失業認定申告書は正確に書いてスムーズな受給を
失業認定申告書の書き方について、初回から就職決定時に至るまで、具体的な手順と注意点を解説しました。最初は少し複雑に感じるかもしれませんが、一つひとつの項目を落ち着いて確認すれば、決して難しいものではありません。
最後に、ハローワークへ提出する前の最終チェックリストを用意しました。
【提出前 最終チェックリスト】
- [ ] 筆記用具は黒のボールペンか?
- [ ] カレンダーの「〇」「×」は正しく記入したか?
- [ ] 4時間未満で働いた分の収入は、漏れなく申告したか?
- [ ] 求職活動実績は、必要な回数を満たしているか?
- [ ] 求職活動の内容は、具体的に書かれているか?
- [ ] 署名欄の日付は、提出日(認定日)になっているか?
- [ ] 支給番号、氏名の記入漏れはないか?
- [ ] 「雇用保険受給資格者証」も一緒に持ったか?
このチェックリストを活用し、万全の状態で認定日に臨んでください。失業期間は、次のステップへ進むための大切な準備期間です。手続きをスムーズに済ませ、安心して再就職活動に集中しましょう。