失業保険で貰える金額や期間は退職理由によって変わります。基本的に「会社都合」の方が「自己都合」よりも多くもらえるのですが、会社から自己都合と判断されてしまった場合でも、あとから会社都合で変更できる可能性もあるため諦めずに確認した方がお得です。
会社都合退職と自己都合退職の違い
会社都合退職
会社都合退職とは、一般的に定年退職・リストラ・倒産など、自分に退職する意思がなくても会社側の都合で退職した場合のことをいいます。
自己都合退職
自己都合退職とは、自分から転職を選んだ場合や家庭の事情で辞める場合など、自分の意思で退職する場合のことをいいます。
失業保険は会社都合だと多く受け取れる
会社都合だと給付金がすぐに受け取れる
会社都合退職では、手続きをしてからおよそ1ヵ月後には給付金をもらうことができます。一方、自己都合退職では4ヶ月後となり、3カ月間も給付が遅れてしまいます。
会社都合退職だと失業保険をもらえる期間が長くなる
会社都合退職では、給付の時期が早いだけでなく受け取れる期間も長くなります。以下の表にまとめているので確認してみましょう。
▼ 自己都合の場合
加入期間10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 |
90日間 | 120日間 | 150日間 |
▼ 会社都合の場合
年齡 / 加入期間 | 1年未満 | 1年以上 5年未満 |
5年以上 10年未満 |
10年以上 20年未満 |
20年以上 |
30歳未満 | 90日 | 90日 | 120日 | 180日 | – |
30歳以上 35歳未満 |
90日 | 90日 | 180日 | 210日 | 240日 |
35歳以上 45歳未満 |
90日 | 90日 | 180日 | 240日 | 270日 |
45歳以上 60歳未満 |
90日 | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 |
60歳以上 65歳未満 |
90日 | 150日 | 180日 | 210日 | 240日 |
解雇予告手当を受け取れる
会社の都合で急に解雇された場合(いわゆるリストラ)、給付金とは別に「解雇予告手当」を追加で受け取ることができます。
金額は「最大30日分の給料」となっており、これは労働基準法にもきちんと記載のある労働者の権利なので損をしないためにも忘れずに確認しましょう。
自己都合を会社都合に変更できるケース
それでは自己都合と判断されてしまった場合でも、あとから会社都合に変更できるケースを紹介します。
①45時間以上の残業時間がある
労働基準法では、時間外労働は1ヶ月間に45時間までと定められています。つまり、これを超えている場合には、会社側に非があるとして退職理由を「会社都合」に変更できます。この時対象となるのは、退職前3カ月間です。
②急な減給を受けた
労働基準法では、「就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の値が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が、一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない」という規定があります。
そのため急に給料を減らされたことがあれば、退職理由を「会社都合」に変更できます。この時、給与明細などの証拠があれば有利になるので大切に保管しましょう。
③パワハラやセクハラを受けた
パワハラやセクハラは、法的にもれっきとした不当行為です。この場合も退職理由を「会社都合」に変更できます。
ただし、パワハラやセクハラの場合はそれを証明しにくいという難点もあります。こちらも証拠などがあれば有利に進められるので気をつけておく必要があります。
④急な業務内容の変更を命じられた
「本来技術職で入社したにもかかわらず営業に回された」などの急な業務内容の変更があった場合にも、「会社都合」に変更することができます。
急に業務内容の全く違う部署異動をさせることは、労働者に大きなストレスを与えたり能力を十分に発揮できなくなることが多いので、これも会社側の非として認められるからです。
勤務地が急に変更になった
通勤に2時間以上かかる場所に勤務地が変更になったなどが、本人の承諾なしに命じられていた場合には、これも「会社都合」に変更する理由になります。この時入社時の労働契約書などに「転勤なし」などの記載があれば、証拠となるので大切に保管しましょう。
会社側の法令違反があった
例えば、労働者の健康に害を及ぼすような環境で働かせていた場合など、これに反するような事実が会社側にあれば、退職理由の変更の理由になります。
⑦給料の未払いがあった
給料に未払いがあった場合も退職理由の変更ができます。このときの基準は「月給の3分の1以上の金額が、2ヶ月連続で支払われなかった場合」となります。
休職命令があった
仕事が減ったなどの理由で、会社側から給食するように命じられた場合も退職理由を変更できる可能性があります。このときの基準は「休職期間が3ヶ月以上続いた場合」となります。
⑧休職命令があった
仕事が減ったなどの理由で、会社側から給食するように命じられた場合も退職理由を変更できる可能性があります。このときの基準は「休職期間が3ヶ月以上続いた場合」となります。
⑨会社が破産した
会社が破産して自分の意思とは関係なく会社をやめることになった場合は会社都合となります。
⑩身内の重病や死亡など
家族や身内が重病にかかったり死亡して、それが理由で退職せざるを得なくなった場合は、会社側に理由がなくても「特定受給資格」の対象となるため、会社都合退職にすることが出来ます。
⑪急病やメンタル疾患などの理由で退職した
急病やメンタル疾患、負傷や障害などで退職せざるをえなくなった場合も、「特定受給資格」の対象となるため、会社都合退職にすることが出来ます。
⑫急に多くの退職者が出た
具体的に会社都合にする理由が証明できなくても「1ヶ月に30人以上、あるいは会社の3分の1を超える人が退職した」という場合は、会社の雇用のほうに問題があるとみなされ、会社都合退職に変更できます。
会社都合退職で失業保険をもらう手続きのやり方
ここまで自己都合退職を会社都合退職に変更できるケースを見てきました。思った以上にいろんなケースがあって驚いた方もいるんじゃないでしょうか。
では実際にこういったケースに自分が該当する場合、どんな手続きをすればいいのか。それはケースによって証拠が必要であったりするので一概には言えません。
ですが安心してください。そんなときに手続きをしてくれるのがハローワークの職員です。まずは事情を伝えて相談してみましょう。
実際に、会社側にタイムカード勝手に押されて残業時間を少なく見積もられていたなどのケースが、あとから会社側に非があると認められて自己都合退職に変更された事例もあります。