高年齢求職者給付金の計算方法を3ステップで解説|年収別シミュレーション早見表

65歳以降に退職してハローワークで手続きする方が必ず気になるのが「結局いくらもらえるのか」。高年齢求職者給付金は、賃金日額×給付率×給付日数というシンプルな式で計算できますが、実際に自分の数字を当てはめるとなると意外と分かりにくいものです。

この記事では、計算式を3つのステップに分解し、年収別の早見表とシミュレーション例を載せました。読み終わるころには「自分の場合はだいたい○万円」という目安がつかめるはずです。

結論:計算式は「賃金日額 × 給付率 × 30日または50日」

最初に答えから書きます。高年齢求職者給付金の支給額は、次の式で求まります。

> 支給額 = 賃金日額 × 給付率(50%〜80%)× 30日 または 50日

  • 賃金日額: 退職前6か月の賃金総額 ÷ 180
  • 給付率: 賃金日額の水準に応じて 50%〜80%
  • 給付日数: 被保険者期間 1年未満なら 30日分、1年以上なら 50日分 の一時金

たとえば賃金日額が1万円・給付率50%・被保険者期間1年以上なら、`10,000 × 0.5 × 50 = 25万円` が一時金として支給されるイメージです。失業手当(基本手当)のように毎月分割で振り込まれるのではなく、まとまった額が一括で振り込まれる点が特徴です。

なお高年齢求職者給付金と失業手当の制度上の違いについては、60歳以降に会社を辞めたら?高年齢求職者給付金と失業手当の違いを徹底比較 で詳しく解説しています。

まずは前提を確認|高年齢求職者給付金とは

計算に入る前に、対象となる制度の輪郭をおさえておきましょう。

対象者:65歳以上の被保険者

高年齢求職者給付金は、65歳以上で雇用保険に加入していた人が離職したときに支給される一時金です。

65歳未満で退職した場合は通常の失業手当(基本手当)の対象になるため、自分がどちらの制度に該当するかを最初に確認してください。

受給資格の3条件

支給を受けるには、次の3条件すべてを満たす必要があります。

1. 離職日以前1年間に、被保険者期間が通算6か月以上ある 2. 失業状態にあること(働く意思と能力があり、求職活動をしている) 3. ハローワークに求職の申込みをしていること

「6か月以上」というのは、賃金支払いの基礎となった日数が11日以上ある月、または労働時間80時間以上ある月を1か月としてカウントします。

失業手当との最大の違い:一時金で一括支給

通常の失業手当は所定給付日数(90日〜330日)が認定日ごとに分割支給されますが、高年齢求職者給付金は30日分または50日分を一括で受け取ります。年金との併給も可能なので、65歳以上の方にとっては実は受給しやすい制度です。

計算ステップ1|賃金日額を求める

それでは具体的な計算に入ります。まずは賃金日額です。

計算式と元になる賃金

賃金日額の計算式は次のとおりです。

> 賃金日額 = 離職前6か月間の賃金総額 ÷ 180

ここでいう「賃金」には次のものが含まれます

  • 基本給
  • 残業手当・休日出勤手当
  • 通勤手当・住宅手当・家族手当などの諸手当
  • 月々支払われる定額の手当

逆に次のものは含まれません

  • 賞与(ボーナス)
  • 退職金
  • 結婚祝金などの一時金
  • 3か月を超える期間ごとに支払われるもの

賞与が含まれない点は誤解しやすいので注意してください。月給ベースで考えるのが鉄則です。

計算例:月給30万円のケース

たとえば離職前6か月の月給が一定で30万円だった場合、賃金総額は `30万円 × 6 = 180万円`。これを180で割ると、賃金日額は 1万円 になります。

月給が月によって変動する場合は、6か月分を実際に合計して180で割ります。給与明細を6か月分手元に揃えてから計算するのが確実です。

計算ステップ2|給付率を決める

賃金日額が出たら、次は給付率です。

給付率は50%〜80%の範囲で決まる

給付率は賃金日額の水準によって変わります。賃金が低い人ほど高い給付率になる仕組みです(生活保障の趣旨から)。

賃金日額の水準 給付率の目安
下限額〜約5,000円 80%
約5,000円〜約12,000円 80%〜50%(逓減)
約12,000円〜上限額 50%

正確な給付率は賃金日額に応じて細かい計算式(逓減式)が定められているので、ハローワークで発行される「雇用保険受給資格者証」に記載される額を最終確認してください。

賃金日額の上限・下限

賃金日額には上限額と下限額が設定されており、毎年8月1日に改定されます。

つまり、いくら月給が高くても上限を超える金額では計算されません。同様に、下限を下回る金額にはなりません。最新の上限・下限額はハローワークの窓口や厚生労働省の公式ページで確認できます。

基本手当日額の決まり方

賃金日額に給付率を掛けた額を「基本手当日額」と呼びます。これが高年齢求職者給付金の1日あたりの支給単価です。

例:賃金日額1万円、給付率50%の場合 → 基本手当日額 = `10,000 × 0.5 = 5,000円`

計算ステップ3|給付日数(30日 or 50日)を掛ける

最後に給付日数を掛ければ、支給総額が出ます。

被保険者期間で2段階に分かれる

被保険者期間 給付日数
1年未満 30日分
1年以上 50日分

通常の失業手当のように勤続年数が長くなるほど給付日数が増えるわけではなく、1年で頭打ちになる点は要注意です。長く働いた人にとってはやや物足りない設計と感じるかもしれません。

30日と50日では金額が約1.67倍違う

たとえば基本手当日額5,000円の人なら、

  • 1年未満(30日分): `5,000 × 30 = 150,000円`
  • 1年以上(50日分): `5,000 × 50 = 250,000円`

その差は10万円。退職タイミングを微調整できる立場なら、雇用保険の被保険者期間が1年を超えてから離職することで支給額を増やせる可能性があります。

年収別シミュレーション|あなたはいくらもらえる?

ここからは具体的な数字でシミュレーションしてみます。すべて被保険者期間1年以上(50日分)で計算しています。

ケース1:年収360万円(月給30万円)

  • 賃金日額: `300,000 × 6 ÷ 180 = 10,000円`
  • 給付率: 50%
  • 基本手当日額: 5,000円
  • 支給総額: 5,000 × 50 = 約25万円

ケース2:年収540万円(月給45万円)

  • 賃金日額: `450,000 × 6 ÷ 180 = 15,000円`
  • 給付率: 50%(高賃金帯のため)
  • 基本手当日額: 7,500円
  • 支給総額: 7,500 × 50 = 約37.5万円

ただし賃金日額が上限額を超える場合は上限額で頭打ちになるため、実際の支給額はこれより少なくなることがあります。

ケース3:年収240万円(月給20万円)

  • 賃金日額: `200,000 × 6 ÷ 180 ≒ 6,667円`
  • 給付率: 約75%(逓減式適用)
  • 基本手当日額: 約5,000円
  • 支給総額: 5,000 × 50 = 約25万円

低賃金帯では給付率が高くなるため、月給20万円のケースと月給30万円のケースで支給額がほぼ並ぶ現象が起こります。

ケース4:パート勤務(月給12万円・週20時間)

  • 賃金日額: `120,000 × 6 ÷ 180 = 4,000円`
  • 給付率: 80%
  • 基本手当日額: 3,200円
  • 支給総額: 3,200 × 50 = 約16万円

ただし下限額があるため、実際の基本手当日額が下限額を下回ることはありません。

早見表:月給別の概算支給額(被保険者期間1年以上)

月給(額面) 賃金日額 給付率目安 概算支給額(50日分)
15万円 約5,000円 約80% 約20万円
20万円 約6,667円 約75% 約25万円
25万円 約8,333円 約60% 約25万円
30万円 10,000円 50% 約25万円
40万円 約13,333円 50% 約33万円
50万円 約16,667円 50%(上限注意) 約25〜33万円

※上記はあくまで目安です。正確な金額は離職票と給与明細を持ってハローワーク窓口で確認してください。

シミュレーション結果を左右する5つの注意点

計算式どおりに出した金額と、実際の支給額がズレることがあります。よくある原因を5つ整理しました。

① 上限額・下限額は毎年8月に改定される

賃金日額の上限・下限は毎年8月1日に改定されます。離職時点で適用される額が基準になるので、退職前後の方は最新値を確認してください。

② 給与の変動月があると賃金日額が下がる

直近6か月のどこかで休職・時短勤務などで給与が減っていると、賃金日額がそのぶん下がります。離職前6か月の賃金水準で決まることを意識しておきましょう。

③ 待期期間7日間は支給対象外

ハローワークで求職申込みをした後、7日間の待期期間を経てから支給対象になります。

ただし高年齢求職者給付金は一時金なので、待期を経たあとの1回の認定日でまとめて支給されます。

④ 申請期限は離職日の翌日から1年

申請が間に合わなければ支給ゼロになります。申請期限は離職日の翌日から1年以内

「あとで申請しよう」と放置しているうちに期限が切れるケースは少なくないので、退職後はなるべく早めにハローワークに行きましょう。詳しい手順は高年齢求職者給付金の申請期限はいつまで?手続き窓口と申請の全手順 を参照してください。

⑤ 年金との併給ができる

通常の失業手当は老齢年金との併給ができませんが、高年齢求職者給付金は年金と同時に受け取れます

年金を受給しながら短期間だけ働いていた方にとって、ここはかなり大きなメリットになります。

よくある質問(FAQ)

Q1. 月給がボーナス込みで年収500万円の場合、賃金総額にボーナスは含めますか?

含めません。賞与は賃金日額の計算から除外されます。月給ベースで6か月分を合計してください。年収500万円でもボーナスが100万円なら、月給は約33万円で計算します。

Q2. 65歳の誕生日を超えてから退職した方が得?

ケースバイケースですが、65歳の誕生日前日までに退職すると失業手当(基本手当)の対象になり、給付日数が90〜150日と高年齢求職者給付金より多くなる可能性があります。

ただし年金との併給は失業手当ではできないため、年金重視なら65歳以降に退職して高年齢求職者給付金を選ぶのが有利という見方もあります。総合判断はハローワーク窓口で相談するのが確実です。

Q3. パートで週20時間しか働いていなくても対象になりますか?

雇用保険に加入していれば対象になります。週20時間以上勤務で31日以上の雇用見込みがあれば雇用保険の加入対象です。

ただし賃金日額が低くなるため、支給総額もそのぶん少なくなります。

Q4. 被保険者期間が「ちょうど1年」だと30日分?50日分?

「ちょうど1年」は1年以上として扱われ、50日分の対象になります。

ただし「離職日以前1年間に被保険者期間6か月以上」という別要件もあるため、勤続が短い方は被保険者期間のカウント方法をハローワークに確認してください。

Q5. 計算結果と実際の支給額が違ったらどうすれば?

ハローワークで発行される「雇用保険受給資格者証」に正式な賃金日額・基本手当日額・支給予定額が記載されます。この記載が正式な額です。

セルフ計算と差がある場合は、賃金算定対象期間の特定や賞与の扱いなどに見落としがある可能性が高いので、窓口で確認しましょう。

Q6. 健康保険・住民税・所得税はかかりますか?

高年齢求職者給付金は非課税で、所得税・住民税はかかりません。

ただし健康保険の扶養判定では収入とみなされる場合があるため、扶養に入っている/入る予定がある方は確認が必要です。

まとめ

最後にこの記事のポイントを整理します。

  • 計算式は 「賃金日額 × 給付率 × 30日 or 50日」
  • 賃金日額 = 離職前6か月の賃金総額 ÷ 180(賞与は含めない
  • 給付率は賃金日額に応じて 50%〜80%
  • 給付日数は被保険者期間で 30日(1年未満) or 50日(1年以上)
  • 月給30万円なら支給総額25万円前後が目安
  • 申請期限は離職日の翌日から 1年以内。早めに動く

シミュレーション結果はあくまで目安です。実際の支給額はハローワークで発行される受給資格者証で正式に決まるので、離職票と給与明細を持って早めに窓口へ行きましょう。

次に読むなら、高年齢求職者給付金はいくらもらえる?計算シミュレーションと受給額の目安 で同カテゴリ記事の補足を確認したり、高年齢求職者給付金の申請期限はいつまで?手続き窓口と申請の全手順 で具体的な手続きフローを把握しておくのがおすすめです。

最新の上限額・給付率は毎年8月に改定されるため、本記事の数字は参考値として捉え、申請時には厚生労働省の公式情報もあわせてご確認ください。