雇用保険被保険者証と離職票の違いとは?手続きごとの使い分け・もらえる時期・紛失時の対処法を解説

退職前後に受け取る書類のなかでも、名前が似ていて混同しやすいのが「雇用保険被保険者証」と「離職票」です。結論からいうと、被保険者証は「雇用保険に加入している(していた)ことを証明する書類」、離職票は「失業保険(基本手当)を申請するための書類」で、役割も使う場面もまったく別物です。この記事では、2つの書類の違いを一覧表で整理したうえで、転職・失業保険の申請・国民健康保険の切り替えといった手続きごとの使い分け、もらえるタイミング、紛失したときの再発行手順までまとめて解説します。読み終えるころには「どの手続きにどちらを出せばいいか」で迷わなくなるはずです。

結論:被保険者証は「加入の証明」、離職票は「失業給付の申請書類」

まずは2つの書類の違いを一覧表で押さえましょう。

項目 雇用保険被保険者証 離職票
正式名称 雇用保険被保険者証 雇用保険被保険者離職票(-1・-2)
役割 雇用保険に加入している(していた)ことの証明 失業保険(基本手当)を申請するための書類
主な使い道 転職先での雇用保険の加入手続き ハローワークでの失業保険の受給手続き
もらえる時期 雇用保険に加入したとき(在職中は会社保管が多く、退職時に受け取るケースが一般的) 退職後、会社経由で受け取る(目安は退職から10日〜2週間程度
発行元 ハローワーク ハローワーク(会社が交付手続きを行う)
再発行 ハローワークで可能 ハローワークで可能

ざっくりいえば、転職して働き続ける人に必要なのが被保険者証、いったん離職して失業保険をもらう人に必要なのが離職票です。それぞれ詳しく見ていきます。

雇用保険被保険者証とは

記載内容と役割

雇用保険被保険者証には、氏名・生年月日のほか、11桁の被保険者番号が記載されています。この番号は原則として1人に1つ割り当てられ、転職しても同じ番号を引き継ぎます。雇用保険の加入履歴を管理するための「会員番号」のようなものとイメージすると分かりやすいでしょう。

いつ・誰からもらえるか

被保険者証は、雇用保険に加入した時点でハローワークから発行されます。ただし実務上は在職中は会社が保管し、退職時に本人へ渡すケースが多いとされています。入社時に本人へ渡す会社もあるため、「見た記憶がない」という人は、まず入社時の書類一式を確認してみてください。

転職時に使う場面

転職先に入社すると、新しい会社があなたを雇用保険に加入させる手続きを行います。このとき被保険者番号が必要になるため、被保険者証(または番号が分かる書類)の提出を求められるのが一般的です。番号さえ分かれば手続きできるので、被保険者証の原本が見つからなくても離職票などで代用できる場合があります。

離職票とは

離職票-1と離職票-2の違い

離職票は正式には「雇用保険被保険者離職票」といい、-1と-2の2枚セットで交付されます。

  • 離職票-1: 資格喪失の確認通知と、失業給付の振込先口座を届け出る欄がある書類
  • 離職票-2: 離職前の賃金支払状況と離職理由が記載された書類

特に重要なのが離職票-2の離職理由です。会社都合か自己都合かによって、給付制限の有無や給付日数が変わる可能性があるため、記載内容が事実と異なる場合は、署名欄で異議を伝えたうえでハローワークの窓口で相談しましょう。

発行の流れと届くまでの期間

離職票は本人が直接申請するのではなく、次の流れで会社経由で届きます。

1. 会社が退職日の翌々日から10日以内に「雇用保険被保険者資格喪失届」と「離職証明書」をハローワークへ提出する 2. ハローワークが離職票を交付する 3. 会社から本人へ郵送などで渡される(退職から10日〜2週間程度が目安)

マイナポータルでの受け取りも可能に

2025年1月20日から、希望する人はマイナポータル経由で離職票を電子データとして受け取れるようになったとされています。会社を経由する郵送よりも早く受け取れる可能性がある一方、事前にマイナンバーの届出などの条件があるため、利用したい場合は在職中に会社へ確認しておくとスムーズです。

手続き別・どちらを使う?使い分け早見表

手続き 必要な書類
失業保険(基本手当)の申請 離職票(-1・-2)
転職先での雇用保険加入 被保険者証(または被保険者番号が分かる書類)
国民健康保険・国民年金の切り替え 離職日が確認できる書類(離職票の写しなどが使える場合が多い)
国民健康保険料の軽減申請 雇用保険受給資格者証など(自治体により異なる)

失業保険の申請には離職票が必要

ハローワークで失業保険の受給手続きをする際は、離職票-1・-2に加えて、マイナンバーカードなどの本人確認書類、本人名義の預貯金通帳またはキャッシュカード、証明写真2枚(マイナンバーカードを提示する場合は省略できる扱いとされています)が必要です。被保険者番号は離職票に記載されているため、被保険者証そのものは原則不要です。

転職先への入社手続きには被保険者証(番号)

退職から間を空けずに転職する場合、失業保険を受給しないため離職票の出番はなく、被保険者番号を新しい会社に伝えられれば足りるのが基本です。

国民健康保険・国民年金の手続きには離職票が役立つ

退職後に国民健康保険や国民年金へ切り替える際、市区町村の窓口で「退職日が確認できる書類」を求められます。離職票の写しが退職日の証明として使える場合が多いため、失業保険を申請する前にコピーを取っておくと便利です。必要書類は自治体によって異なるため、事前に窓口へ確認してください。

混同しやすい書類との違い

離職証明書との違い

離職証明書は、会社がハローワークに提出する書類で、離職票を発行してもらうための元データにあたります。本人が受け取るのは離職票のほうです。退職前に会社から「離職証明書の記載内容の確認」を求められたら、離職理由や賃金額が正しいかをこの段階でチェックしておくと、あとのトラブルを減らせます。

退職証明書との違い

退職証明書は、労働基準法にもとづき本人が請求すれば会社が発行する書類で、雇用保険とは関係のない私文書です。離職票が届く前に国民健康保険の切り替えを進めたい場合などに、代わりの証明として受け付けてもらえるケースがあるとされています。

書類が手元にないときの対処法

雇用保険被保険者証をなくした場合

被保険者証はハローワークで再発行でき、窓口では原則その場で交付されるとされています。本人確認書類を持って最寄りのハローワークへ行くか、電子申請(e-Gov)でも手続きできます。詳しい手順は雇用保険被保険者証の再発行の手順・必要書類で解説しています。

離職票が届かない場合

退職から2週間を過ぎても離職票が届かないときは、まず会社に発行状況を確認しましょう。会社が対応してくれない場合は、住所地を管轄するハローワークに相談すれば、ハローワークから会社へ督促してもらえる場合があります。離職票の到着が遅れても失業保険の申請開始が遅れるだけで権利が消えるわけではありませんが、後述のとおり受給期間には期限があるため早めに動くのが安心です。

よくある質問(FAQ)

Q1. 失業保険の申請に被保険者証も必要ですか?

原則として離職票があれば手続きできます。被保険者番号は離職票に記載されているためです。ただし記載内容に不備があった場合などに備え、手元にあるなら被保険者証も一緒に持参しておくと安心です。

Q2. 転職先が決まっていれば離職票はもらわなくていい?

すぐに転職する場合、失業保険を受給しないため離職票は原則不要です。ただし、入社日まで期間が空く場合や、万一早期に退職した場合に必要になることがあるため、発行してもらっておくほうが安心とされています。退職時に会社へ「離職票は必要です」と伝えておきましょう。

Q3. 被保険者番号が分からないときはどうすればいい?

離職票や雇用保険受給資格者証に記載があるため、まず手元の書類を確認しましょう。どの書類もない場合は、本人確認書類を持ってハローワークで照会・再発行の手続きができます。

Q4. 離職票を紛失したら再発行できますか?

再発行できます。ハローワークの窓口(離職時の勤務先を管轄するハローワークが基本ですが、最寄りの窓口で相談可能)か、電子申請で手続きします。本人確認書類を持参しましょう。

Q5. パート・アルバイトでも被保険者証や離職票はもらえますか?

週の所定労働時間が20時間以上で、31日以上雇用される見込みがあれば雇用保険の被保険者となるため、正社員と同様に交付されます。なお、2025年の法改正により、加入対象は2028年10月から週10時間以上に拡大される予定とされています。

Q6. 離職票の提出に期限はありますか?

提出期限そのものはありませんが、失業保険を受け取れる受給期間は原則として離職日の翌日から1年間です。手続きが遅れると、所定給付日数が残っていても受給期間の満了で打ち切られる可能性があるため、離職票が届いたら早めにハローワークで手続きしましょう。

まとめ

  • 雇用保険被保険者証は雇用保険の加入を証明する書類で、主に転職先での加入手続きに使う
  • 離職票(-1・-2)失業保険の申請に使う書類で、退職後10日〜2週間程度で会社経由で届く
  • 国民健康保険・国民年金の切り替えでは離職票の写しが退職日の証明として役立つ場合が多い
  • どちらも紛失時はハローワークで再発行できる
  • 失業保険の受給期間は離職日の翌日から原則1年間。離職票が届いたら早めに手続きを

書類の違いが整理できたら、次は実際の申請です。失業保険の手続き後に毎回提出する書類については失業認定申告書の書き方完全ガイドを、認定に必要な活動については求職活動実績の作り方をあわせてご覧ください。

※雇用保険の制度内容は改正される場合があります。最新情報はハローワークインターネットサービスなどの公式サイトでご確認ください。