失業保険(雇用保険の基本手当)を受給中に就職先が決まったとき、「採用証明書」 という書類が必要になります。「どこでもらうの?」「いつ提出するの?」と戸惑う方も多いですが、手順を知っていれば決して難しくありません。
この記事では、採用証明書の役割・入手方法・提出先・もらえなかった場合の対処法まで一気通貫で解説します。再就職手当の申請とセットで理解しておくと、給付金を取り逃がすリスクがぐっと下がります。
採用証明書とは何か?失業保険との関係
採用証明書の定義と目的
採用証明書とは、新しい就職先があなたを採用した事実を証明する書類です。
ハローワークが定める様式(様式第27号)を使うのが原則で、書式はハローワークの窓口またはハローワークインターネットサービスからダウンロードできます。
失業保険の受給中に就職が決まると、ハローワークへ「就職の届け出」をする義務があります。採用証明書はその届け出をする際の証拠書類として機能します。
失業保険手続きでいつ必要になるか
採用証明書が必要になる主なシーンは次の2つです。
| シーン | 書類の使途 |
|---|---|
| ハローワークへの就職届け出 | 受給終了日を確定させるための証明書類 |
| 再就職手当の申請 | 申請書(様式第33号)に添付する |
就職が決まった翌日からは、原則として基本手当の受給資格がなくなります。採用証明書を提出することで受給終了日が確定し、受け取り過ぎた給付の返還を防ぐことができます。
採用証明書が必要なケース・不要なケース
受給期間中に就職した場合の報告義務
失業保険の受給中に就職(採用)が決まった場合、就職した日(採用日)の翌日からハローワークへの報告義務が生じます。
具体的には、就職日から一定日数以内にハローワークへ出向き、採用証明書を提出して「就職届」を完了させる必要があります。
放置すると不正受給とみなされる可能性があるため、就職が決まったらすぐにハローワークへ連絡する習慣をつけましょう。
再就職手当の申請に採用証明書が必要
採用証明書が特に重要になるのが再就職手当の申請です。再就職手当とは、所定給付日数の一定割合以上を残した状態で安定した職に就いた場合にもらえる一時金です。
再就職手当の給付率の目安
| 残日数の割合 | 給付率 |
|---|---|
| 所定給付日数の2/3以上残っている | 基本手当日額 × 残日数 × 70% |
| 所定給付日数の1/3以上残っている | 基本手当日額 × 残日数 × 60% |
この申請には採用証明書の添付が必須です。「就職届」と「再就職手当支給申請書」は同時に提出するのが一般的で、採用証明書は1部あれば両方に対応できます。
採用証明書が不要なケース
次のケースでは採用証明書の提出が不要、または別の書類で代替できることがあります。
- 給付日数をすでにすべて受け取り終えた後に就職した場合(受給資格がすでに消滅しているため)
- 日雇い・単発の短時間アルバイトなど雇用保険被保険者にならない就労の場合(ただし就労報告は必要)
- 派遣元へ登録しただけで実際の勤務が始まっていない段階(採用証明書の発行タイミングは「勤務開始日以降」が原則)
採用証明書の入手方法(会社にもらう手順)
ハローワークで様式を受け取る
採用証明書の様式(様式第27号)は自分では書けません。新しい勤務先(採用した会社)が記入・押印する書類です。
自分がまずやることは様式の入手です。
様式の入手方法
1. ハローワークの窓口で「採用証明書の様式をください」と申し出る 2. またはハローワークインターネットサービスからPDFをダウンロードして印刷する
なお、勤務先によってはすでに様式を持っている場合もあります。まず採用担当者に「失業給付の手続きで採用証明書が必要です」と伝えるとスムーズです。
新しい職場(採用企業)に記入を依頼する
様式を手に入れたら、採用された会社の人事・総務担当者に持参して記入を依頼します。
採用証明書に会社側が記入する主な項目は以下のとおりです。
| 記入項目 | 内容 |
|---|---|
| 採用年月日 | 実際に勤務を開始した日(内定日ではなく就労開始日) |
| 雇用形態 | 正社員・契約社員・パートなどの区別 |
| 雇用期間の定め | 期間の定めがあるか・ないか |
| 所定労働時間 | 週の所定労働時間 |
| 賃金 | 基本給・支払い方法 |
| 事業主の署名・押印 | 会社の代表印または人事担当者の記名押印 |
ポイント: 再就職手当の支給要件に「1年以上の雇用見込みがあること」が含まれるため、雇用期間の記入は正確に行ってもらうことが重要です。
記入から提出までのタイムライン
採用証明書の入手・提出は、できるだけスピーディーに進めましょう。
“` 就職(採用)が決まる ↓ ハローワークに「就職の見込みがある」旨を連絡(電話でもOK) ↓ 様式を入手し、採用企業に記入を依頼 ↓ 採用証明書を受け取る ↓ ハローワーク窓口に提出(就職届と同時) ↓ 資格喪失確認 → 再就職手当の要件を満たす場合は申請書も提出 “`
提出期限は就職日の翌日から原則1か月以内が目安ですが、ハローワークによって運用が異なる場合があります。 不明点は早めに窓口で確認するのが確実です。
採用証明書の書き方・記入上の注意点
記入時によくあるトラブルと対処
採用証明書の記入でよくある問題と対処法を紹介します。
| よくあるミス | 正しい記入 |
|---|---|
| 内定日を「採用年月日」に書く | 実際に勤務を開始した日を記入する |
| 雇用期間を空欄にする | 「期間の定めなし」または具体的な契約期間を必ず記入 |
| 所定労働時間を概算で書く | 雇用契約書の時間を正確に転記する |
| 会社印の押印を忘れる | 必ず会社の正式な印鑑を押してもらう |
内定日ではなく実際の勤務開始日を記入することが特に重要です。失業保険の基本手当は「勤務を開始した日の前日」まで支給されるため、記入ミスがあると給付の計算に誤りが生じます。
採用証明書を書いてもらいやすくするコツ
採用担当者にとって採用証明書の記入が初めてのケースもあります。スムーズに依頼するためのポイントです。
1. 依頼のタイミングを早める: 入社日が確定した時点で依頼する。入社当日に慌てて依頼すると総務が対応できないことも 2. 様式と記入例を一緒に渡す: ハローワークからもらった記入例(様式の裏面に記載あり)を添えると担当者が迷わない 3. 目的を簡潔に説明する: 「失業給付の終了手続きに使う公的書類です。提出先はハローワークです」と伝えると理解してもらいやすい
採用証明書の提出先と提出期限
ハローワークへの提出方法
採用証明書は、自分が雇用保険受給手続きをしているハローワークに提出します。転居などで管轄が変わった場合は、事前にどこに提出すべきかをハローワークに確認しましょう。
提出の際に持参するもの:
- 採用証明書(様式第27号・会社が記入済みのもの)
- 雇用保険受給資格者証
- 失業認定申告書(次の認定日が来ていない場合は不要のこともある)
- 再就職手当を申請する場合は「再就職手当支給申請書」(様式第33号)
郵送提出に対応しているハローワークもありますが、書類の不備確認が難しいため、できる限り窓口への持参を推奨します。
提出期限と遅れた場合の対処
再就職手当の申請書類(採用証明書を含む)は、就職日の翌日から起算して1か月以内に提出するのが原則です。
期限を過ぎてしまった場合でも、正当な理由(病気・天災など)があればハローワークが柔軟に対応してくれることがあります。期限超過に気づいたらすぐにハローワークへ電話で状況を説明しましょう。
採用証明書がもらえない・断られた場合の対処法
採用企業が発行を拒否した場合
「会社が採用証明書を書いてくれない」という相談はハローワーク窓口でも一定数あります。考えられる理由と対処法は次のとおりです。
| 断られる理由 | 対処法 |
|---|---|
| 「そういう書類を書いたことがない」(様式を知らない) | 様式と記入例を持参してもう一度依頼する |
| 「個人情報を外部に出したくない」 | 提出先はハローワーク(公的機関)であることを説明する |
| 「手間をかけたくない」 | 総務部門の上長や責任者に直接相談する |
| 明確に拒否される | ハローワークに事情を説明し、代替手続きを相談する |
ハローワークに相談する方法
採用証明書が入手できない場合でも、ハローワークは相談に応じてくれます。
1. 担当のハローワーク窓口に電話または来所して事情を説明する 2. 場合によっては雇用契約書のコピーや給与明細など代替書類で対応できることがある 3. それでも解決しない場合は、都道府県労働局の雇用保険担当課に相談する選択肢もある
なお、採用証明書の発行は現行法上は企業の法的義務として明文化されているわけではありませんが、ハローワークから企業に協力を求めるケースもあります。 あきらめずにハローワークに相談することが重要です。
よくある質問(FAQ)
Q. 採用証明書はいつ会社に依頼すればいいですか?
就職が決まった時点、できれば入社日が確定した直後に依頼するのがベストです。内定承諾のタイミングで「ハローワークへの手続きに使う書類があります」と伝えると、入社日に受け取れることが多いです。入社当日になってから依頼すると総務が対応できないケースもあります。
Q. アルバイト・パートでも採用証明書は必要ですか?
週20時間以上かつ31日以上の雇用見込みがある場合は雇用保険の被保険者となるため、失業給付の受給終了手続きとして採用証明書が必要です。週20時間未満の短時間アルバイトは就労報告のみでよい場合もありますが、必ずハローワークで確認してください。
Q. 採用証明書はどこからダウンロードできますか?
ハローワークインターネットサービス(hellowork.mhlw.go.jp)の「申請書等一覧」から様式第27号をダウンロードできます。印刷して採用企業に持参するか、ハローワーク窓口で紙の様式を直接もらうことも可能です。
Q. 採用証明書を提出すると基本手当はいつ止まりますか?
採用証明書を提出して「就職届」が受理された時点で、就職日の前日まで基本手当の受給権があったことが確定します。就職日以降に誤って基本手当の認定を受けてしまった場合は返還義務が生じますので、早めの届け出を心がけてください。
Q. 再就職手当の申請と採用証明書の提出は同時にできますか?
はい、同時に手続きするのが一般的です。「就職届」と「再就職手当支給申請書(様式第33号)」と「採用証明書(様式第27号)」をまとめてハローワーク窓口に提出します。窓口担当者が書類をまとめて確認・受理してくれます。
Q. 会社が採用証明書に押印してくれません。どうすればいいですか?
まず人事・総務の上長に相談してみましょう。「ハローワークへの公的手続きに必要で、私の失業給付の終了に関わる書類です」と伝えると理解を得やすいです。それでも対応してもらえない場合は、ハローワークに事情を伝えると代替書類(雇用契約書など)での対応を検討してもらえることがあります。
Q. 内定はもらったけれどまだ勤務が始まっていません。今すぐ採用証明書を提出する必要がありますか?
勤務開始前に採用証明書を提出する必要はありません。採用証明書の「採用年月日」は実際の勤務開始日を記入するため、勤務開始後に準備して提出するのが原則です。ただし、就職が決まった時点でハローワークへ連絡を入れておくことを推奨します。
まとめ
- 採用証明書(様式第27号) は、失業保険受給中に就職が決まった際にハローワークへ提出する就職証明書類
- 様式はハローワーク窓口またはインターネットサービスから入手し、採用企業(新しい勤務先)に記入・押印してもらう
- 提出先は雇用保険受給手続きをしているハローワーク窓口。再就職手当の申請書と一緒に提出するのが一般的
- 提出期限は就職日の翌日から1か月以内が目安。遅れが出たらすぐハローワークに相談する
- 採用企業が発行を断った場合でも、ハローワークに相談すると代替対応を検討してもらえることがある
再就職手当は、早期に就職したときに給付金の一部を一時金として受け取れる制度です。採用証明書を早めに準備して、取り逃がしのないようにしましょう。