ハローワークに求人を出す際に記入する「求人申込書(求人票)」には、試用期間を設けるかどうかを記入する欄があります。「試用期間の長さはどう書けばいい?」「本採用より賃金を下げる場合はどこに書く?」「試用期間なしなら何も書かなくていい?」——こうした疑問を持つ採用担当者のために、試用期間欄の記入方法を具体例つきでまとめました。
求人申込書の「試用期間」欄とは
ハローワークの求人申込書には、本採用前に設ける試用期間の有無・期間・その間の労働条件を記載する欄があります。
試用期間とは
試用期間とは、採用後に本採用の可否を判断するために設ける期間のことです。企業は試用期間中に、従業員の適性・能力・勤務態度を見極めることができます。
ただし、試用期間中も労働契約は成立しているため、労働基準法や各種労働保護法の適用を受けます。「試用期間中はいつでも解雇できる」というのは誤解です。
求人票に記入が求められる理由
職業安定法では、求人票に労働条件を明示することが義務付けられています。 試用期間中に本採用時と異なる賃金や条件を設定する場合は、求職者が応募前に知れるよう求人票への記載が必要です。記入漏れがあると窓口で修正を求められるほか、採用トラブルにつながることがあります。
試用期間「あり」の場合の書き方
試用期間を設ける場合は、①有無、②期間、③試用期間中の労働条件の3点を記入します。
①「試用期間あり」を選択する
求人申込書の「試用期間の有無」欄で「あり」にチェックまたは選択します。
②期間(○か月)を記入する
試用期間の長さを月数で記入します。法律上の上限は定められていませんが、一般的には3か月が最多で、長くても6か月以内とする企業がほとんどです。
| 設定期間 | 主な用途 |
|---|---|
| 1か月 | 短期・アルバイト採用など、早期判断が必要な場合 |
| 3か月 | 正社員採用の標準的な設定 |
| 6か月 | 管理職・専門職など適性確認に時間を要する場合 |
合理的な理由なく6か月を超える設定は労使トラブルのリスクが高まるため、3〜6か月の範囲で設定するのが無難です。
③試用期間中の労働条件を記入する
試用期間中の条件が本採用後と同じ場合は「本採用と同じ」と記入します。
賃金が異なる場合は、試用期間中の賃金額・賃金形態を別途記入してください。求人申込書の「試用期間中の基本給」欄などに具体的な金額を記載します。記入例は次のとおりです。
- 本採用時の基本給:月給22万円
- 試用期間中の基本給:月給20万円
賃金以外の条件(職種・勤務時間・就業場所など)を変える場合も、備考欄や条件欄に明記してください。
試用期間「なし」の場合の書き方
試用期間を設けない場合は、「試用期間の有無」欄で「なし」を選択します。期間欄や条件欄は空欄のままで構いません。
試用期間なしは「即日本採用」であることが明確になるため、安定した雇用を求める求職者からは好印象を持たれることがあります。特に正社員・長期雇用を前提とした求人では、あえて「なし」にすることも選択肢のひとつです。
よくある疑問
Q. 試用期間中に解雇することはできますか?
試用期間中の解雇にも合理的な理由が必要です。「能力や適性が著しく不足している」など客観的な事情がある場合は認められますが、雇い入れから14日を超えて継続雇用した場合は30日前の解雇予告または解雇予告手当が必要です。 試用期間を「自由に解雇できる期間」と誤解しないよう注意してください。
Q. 試用期間の延長は後からできますか?
あらかじめ求人票・労働契約書に「延長の可能性」を明記していた場合のみ、延長が認められる可能性があります。後から一方的に延長することは法的リスクが高く、トラブルになりやすいです。延長の可能性がある場合は最初から「最長○か月」と記載しておくのが安全です。
Q. 試用期間中の社会保険はどうなりますか?
試用期間中も、週20時間以上・31日以上の雇用見込みなどの要件を満たせば雇用保険・社会保険(健康保険・厚生年金)への加入義務があります。 本採用後と扱いに差はないため、求人票への記載を省略しても問題ありません。
まとめ
求人申込書の試用期間欄で押さえておきたいポイントをまとめます。
- 試用期間ありの場合は「期間(3〜6か月が目安)」と「試用期間中の労働条件」を記入する
- 本採用時と賃金・条件が異なる場合は必ず具体的な数値を記載する(法的義務)
- 試用期間なしの場合は「なし」を選択するだけで、その他の欄は空欄でよい
- 試用期間中も労働基準法の適用があり、合理的理由なく解雇・延長はできない点に注意する
求人申込書全体の書き方や提出手順については、求人申込書の書き方(エクセル/PDFのテンプレートダウンロードあり)もあわせてご確認ください。記入内容に不明点がある場合は、提出前にハローワークの事業主窓口に相談することをおすすめします。