失業保険の受給中に確定申告は必要?年末調整・税金のルールをわかりやすく解説

「失業保険をもらったら確定申告は必要なの?」——退職後、税金のことで不安になる方は多いです。

結論から言うと、失業保険(雇用保険の基本手当)は非課税なので、それ自体の申告は不要です。ただし、退職時期によっては確定申告で税金が戻るケースがあります。

この記事では、失業保険と税金の関係をわかりやすく整理し、確定申告すべきかどうかの判断ポイントを解説します。

【結論】失業保険は非課税。ただし「確定申告すると得」な人がいる

失業保険は非課税

雇用保険の基本手当(失業保険)は、所得税・住民税がかからない非課税所得です。確定申告書に金額を記載する必要もありません。

根拠: 雇用保険法第12条で「租税その他の公課は、失業等給付として支給を受けた金銭を標準として課することができない」と定められています。

でも確定申告すると得な人がいる

年の途中で退職し、その後就職しないまま年末を迎えた場合、会社で行われる年末調整を受けられません。この場合、払いすぎた所得税が戻ってくる可能性があります。

ケース 確定申告
年の途中で退職 → 年内に再就職 原則不要(新しい会社で年末調整)
年の途中で退職 → 年内に再就職しない 確定申告すると還付の可能性大
年の途中で退職 → 自営業・フリーランス開始 必要
退職金を受け取った 通常は会社で処理済み(一部要申告)

なぜ退職後に確定申告で税金が戻るのか

所得税は「1年間の収入」で計算される

会社員の所得税は、毎月の給料から概算で天引きされています。1年分の給料を想定した金額で天引きしているため、年の途中で退職すると払いすぎになっていることが多いのです。

具体例:年収500万円の人が6月に退職した場合

  • 1〜5月の給料: 約208万円
  • 天引きされた所得税: 約8万円(年収500万円想定)
  • 実際の所得税: 約3万円(年収208万円に対する税額)
  • 還付される金額: 約5万円

6月以降の給与がないことで年間所得が減り、所得税の年額が下がります。その差額が還付されます。

確定申告の対象になる人・ならない人

確定申告が必要な人

  • 年の途中で退職し、年内に再就職しなかった
  • 退職後に自営業・フリーランスを始めた
  • 副業収入が年間20万円を超える
  • 医療費控除を受けたい(年間10万円以上の医療費)
  • ふるさと納税をしていてワンストップ特例を使っていない
  • 2,000万円を超える給与収入があった

確定申告が不要な人

  • 年の途中で退職し、年内に再就職した(新しい会社で年末調整される)
  • 退職後、年内ずっと失業保険のみだった(還付の可能性はあるが「しなくてよい」選択もOK)
  • 所得税が引かれていない退職だった

退職したら確定申告で戻ってくる可能性のある控除

1. 基礎控除(48万円)

すべての納税者が受けられる控除。通常は年末調整で適用されますが、年末調整を受けられなかった場合は確定申告で適用されます。

2. 社会保険料控除

退職後に自分で支払った国民健康保険料・国民年金保険料は全額控除対象です。

  • 国保保険料(年間数十万円になることも)
  • 国民年金保険料(月額約17,000円 × 12ヶ月 = 約20万円)

この金額分、所得税が減税されます。

3. 生命保険料控除・地震保険料控除

年末調整で申告していた控除も、確定申告で改めて申告する必要があります。

4. 医療費控除

年間医療費が10万円を超えた場合(または所得200万円未満の場合は所得の5%を超えた場合)に控除対象。

5. 配偶者控除・扶養控除

配偶者や家族を扶養している場合、確定申告で控除を受けられます。

確定申告の手続きの流れ

準備するもの

  • 源泉徴収票(退職時に会社からもらうもの)
  • 国民健康保険料・国民年金の支払い証明書
  • 生命保険料控除証明書(保険会社から届く)
  • 医療費の領収書(医療費控除を受ける場合)
  • マイナンバーカードまたは通知カード+本人確認書類
  • 還付金の振込口座(本人名義)

申告の時期

確定申告の期間は翌年の2月16日〜3月15日です。ただし、還付を受けるだけの申告(還付申告)は翌年1月1日から5年間可能です。

例:2026年6月に退職した方は、2027年1月から2031年12月末まで還付申告ができます。

申告の方法

1. e-Tax(オンライン): マイナンバーカードがあれば自宅から申告可能 2. 税務署の窓口: 確定申告期間中は相談コーナーあり 3. 郵送: 書類を作成して税務署に郵送 4. 税理士に依頼: 複雑なケースは専門家に任せる選択も

よくある質問(FAQ)

Q1. 失業保険は所得に含まれますか?

含まれません。 非課税所得のため、確定申告書にも記載不要です。配偶者の扶養判定(130万円の壁)では「収入」としてカウントされますが、税金の計算では「所得」にカウントされません。

Q2. 退職金にも確定申告が必要ですか?

退職金は「退職所得」として分離課税されます。退職時に「退職所得の受給に関する申告書」を会社に提出していれば、適切な税額が源泉徴収されているため確定申告は原則不要です。提出していない場合は確定申告で精算が必要です。

Q3. 再就職先で年末調整を受けられなかった場合は?

新しい会社に前職の源泉徴収票を提出し忘れた場合などは、前職と現職の両方の収入を合算して確定申告する必要があります。

Q4. 確定申告しないと罰則はありますか?

還付申告の場合は罰則なし(しなくても損するだけ)。ただし、副業や事業所得がある場合は申告義務があり、怠ると無申告加算税・延滞税が課される可能性があります。

Q5. 住民税はどうなりますか?

住民税は前年の所得に基づいて翌年6月から課税されます。退職直後は前年の会社員時代の所得に応じた住民税の納付書が届きます。一時的に収入が減っても住民税は下がらないため、納付に備えておきましょう。

収入が大幅に減った場合は、市区町村の住民税の減免制度を利用できる場合があります。

まとめ

  • 失業保険は非課税なので、それ自体に確定申告は不要
  • 年の途中で退職し再就職しなかった場合は還付の可能性大
  • 国民健康保険料・国民年金保険料は全額控除対象
  • 還付申告は5年間有効(あとからでもできる)
  • 退職金は「退職所得の受給に関する申告書」提出済みなら原則不要
  • 住民税は前年所得ベースなので、退職後に負担感が大きいことに注意

次のステップ: 退職後は源泉徴収票を必ず保管しましょう。翌年の確定申告時期に、この記事のチェックリストを使って申告が必要か判断できます。迷ったら税務署の無料相談コーナーを利用するのがおすすめです。

※税務の取り扱いは個々の状況によって異なります。具体的な金額や申告の要否については、税務署または税理士にご相談ください。