「再就職手当はもらえたけど、給料が前職より下がってしまった……」
そんな方に知ってほしいのが、就業促進定着手当です。再就職後に賃金が下がった場合、再就職から6ヶ月後にもう一度給付金を受け取れる制度です。
名前を知らない方も多い制度ですが、条件を満たせばまとまった金額になるケースもあります。本記事では、再就職手当との違いから計算式・申請手続きまで、わかりやすく解説します。
就業促進定着手当とは
就業促進定着手当は、雇用保険の就業促進給付の一種です。再就職後6ヶ月間、新しい職場に継続して勤務し、かつ再就職後の賃金が離職前の賃金と比べて低下している場合に支給されます。
読んで字のごとく「就業後の定着を促進する」ための手当であり、賃金の減少分を補填することで、再就職者が新しい職場で安定して働き続けられるよう支援することが目的です。
再就職手当との違い
| 支給タイミング | 再就職が決まったとき | 再就職後6ヶ月勤務後 |
|---|---|---|
| 条件 | 早期再就職・所定給付日数の残余あり | 再就職手当を受給済み + 賃金低下 |
| 目的 | 早期就職の促進 | 定着支援・賃金低下の補填 |
| 上限 | 基本手当日額×残日数×60〜70% | 基本手当日額×残日数×40〜30%程度 |
就業促進定着手当は「再就職手当の補完制度」です。再就職手当を受給していることが申請の前提条件になります。
支給条件:5つの要件をすべて満たすこと
就業促進定着手当を受け取るには、以下の条件をすべて満たす必要があります。
条件1:再就職手当を受給していること
再就職手当を受け取っていない方は対象外です。まず再就職手当の受給資格があるかどうかを確認してください。
条件2:再就職後6ヶ月間、同じ事業主のもとで雇用されていること
6ヶ月の間に退職や転籍があった場合は対象外です。6ヶ月継続して同一事業主のもとで勤務していることが必要です。
条件3:6ヶ月間の賃金が、離職前の賃金(基本手当の賃金日額)を下回っていること
具体的には、再就職後6ヶ月間の1日あたりの賃金が、雇用保険の「賃金日額」を下回っていることが条件です。
条件4:6ヶ月後の時点で雇用保険の被保険者であること
再就職先での雇用保険への加入が継続していることが必要です。
条件5:申請期限内に申請すること
再就職した日から6ヶ月経過後、翌日から2ヶ月以内が申請期限です。この期限を過ぎると受給できなくなるため、注意が必要です。
計算方法と支給上限額
基本計算式
“` 就業促進定着手当の支給額 = (離職前の賃金日額 − 再就職後6ヶ月の賃金日額)× 再就職後6ヶ月の労働日数 “`
上限額の計算式
支給額には上限があります。
“` 上限額 = 基本手当日額 × 再就職手当の支給残日数 × 40%(再就職手当が60%の場合) または 上限額 = 基本手当日額 × 再就職手当の支給残日数 × 30%(再就職手当が70%の場合) “`
再就職手当の給付率が高かった(残日数が多く早期に就職した)人ほど、就業促進定着手当の上限は低くなる仕組みです。これは「再就職手当でより多く受け取った人への調整」という位置づけです。
計算例(目安)
- 基本手当日額:6,000円
- 再就職手当の残日数:50日
- 再就職手当の給付率:70%(早期就職)
- 離職前の賃金日額:7,000円
- 再就職後6ヶ月の賃金日額:6,500円
- 再就職後6ヶ月の労働日数:125日
支給額(実際の差額分)= (7,000円 − 6,500円)× 125日 = 62,500円 上限額 = 6,000円 × 50日 × 30% = 90,000円
→ 支給額 62,500円 < 上限額 90,000円 なので、62,500円を受給できます。
※あくまで目安の試算です。実際の金額はハローワークで確認してください。
申請手続きと必要書類
申請先
住所を管轄するハローワーク(再就職先の管轄ではなく、自分の住所地の管轄)
申請の流れ
ステップ1: 再就職から6ヶ月が経過したら、再就職先に「就業促進定着手当支給申請書」を渡す
ステップ2: 再就職先の会社が、6ヶ月間の賃金支払い状況を証明する欄に記入する(会社側の証明が必要)
ステップ3: 必要書類を揃えてハローワークへ提出(郵送可能な場合もあるため、事前にハローワークへ確認)
ステップ4: 審査後、指定口座に振込
必要書類一覧
- 就業促進定着手当支給申請書(ハローワークの所定様式。会社に記入を依頼する欄あり)
- 雇用保険受給資格者証
- 再就職先での賃金台帳のコピー(6ヶ月分)
- 出勤簿またはタイムカードのコピー(6ヶ月分)
書類の記入や提出に不明点がある場合は、ハローワーク窓口に事前相談するとスムーズです。
注意点とよくあるミス
申請を忘れてしまうケース
就業促進定着手当は、自分から申請しないと受け取れません。再就職後6ヶ月で忙しくなると、申請を失念するケースが多いです。再就職日から6ヶ月後の日付をカレンダーに登録しておきましょう。
会社が協力してくれないケース
申請書の一部は会社(事業主)が記入する必要があります。会社側が忘れたり、担当者が制度を知らなかったりするケースもあるため、申請の意向を早めに会社の担当者に伝えておくと安心です。
賃金の計算期間の誤解
「6ヶ月間の賃金」の計算には時間外手当・通勤手当なども含まれる場合があります。詳細はハローワークに確認してください。
FAQ
Q. 再就職手当をもらっていないと申請できませんか?
A. はい、就業促進定着手当は再就職手当の受給が前提条件です。再就職手当を受け取っていない場合は対象外となります。
Q. 6ヶ月の間に昇給があった場合はどうなりますか?
A. 6ヶ月間の平均賃金日額で計算されます。昇給により離職前の賃金日額を上回った場合は、支給対象外になる可能性があります。
Q. 派遣社員として再就職した場合も対象になりますか?
A. 派遣社員でも雇用保険の被保険者であれば対象になります。ただし、派遣元と派遣先の関係や雇用形態によって条件が変わる場合があるため、ハローワークに確認することをおすすめします。
Q. 申請書の書き方がわからない場合はどうすればいいですか?
A. ハローワークの窓口で書き方を教えてもらえます。事業主記入欄は会社の総務・人事担当者に依頼してください。困ったらまず窓口に相談するのが最短です。
まとめ
就業促進定着手当は、再就職手当を受給し、6ヶ月間定着したが賃金が下がってしまった方への補填給付です。
- 再就職手当の受給が前提条件
- 再就職後6ヶ月の継続勤務と賃金低下の両方が必要
- 申請期限は6ヶ月経過後2ヶ月以内
- 会社の協力が必要なため、早めに準備を
給与が下がっての再就職は気持ちが沈みがちですが、この制度を活用することで金銭的なサポートを受けられます。申請期限を逃さないよう、カレンダーに入力しておくことを強くおすすめします。