自己都合退職でも高年齢求職者給付金はもらえる?給付制限をわかりやすく解説

65歳以降に自己都合で会社を辞めた場合、「自己都合だから高年齢求職者給付金はもらえないのでは」と不安になる方は少なくありません。結論から言うと、自己都合退職でも高年齢求職者給付金は受け取れます。ただし、退職理由によっては給付制限期間が設けられ、受給開始が数ヶ月遅れる点には注意が必要です。この記事では、給付制限のしくみと、それでも受給額そのものは減らない理由、申請から振込までの流れを整理して解説します。

自己都合退職でも高年齢求職者給付金はもらえる(ただし給付制限あり)

自己都合退職であっても、65歳以上の高年齢被保険者としての受給資格を満たしていれば、高年齢求職者給付金は支給されます。会社都合退職と違うのは「もらえるかどうか」ではなく、「いつからもらえるか」という点です。自己都合退職の場合は7日間の待期期間に加えて、原則として給付制限期間が課されるため、実際に一時金を受け取れるタイミングが会社都合退職より後ろにずれます。まずはこの「もらえる・もらえないの話ではなく、時期がずれるだけ」という前提を押さえておくと、以降の解説が理解しやすくなります。

そもそも高年齢求職者給付金とは

対象になる人(65歳以上の高年齢被保険者)

高年齢求職者給付金は、離職時点で65歳以上の雇用保険被保険者(高年齢被保険者)を対象とした給付です。求職の意思と能力があり、ハローワークで求職の申込みをしていることが前提となります。

基本手当(一般の失業手当)との違い

64歳以下が対象の「基本手当」は、原則として28日ごとに失業の認定を受けながら継続的に支給される仕組みです。一方、高年齢求職者給付金は一度きりの一時金として支給される点が大きな違いです。 支給額の計算方法自体は基本手当と共通の考え方を使いますが、受け取り方が「毎月」ではなく「一括」になるとイメージすると分かりやすいでしょう。

一時金として一括支給される

被保険者であった期間に応じて、基本手当日額の30日分(被保険者期間1年未満)または50日分(被保険者期間1年以上)が、失業の認定を受けた際に一括で支給されます。

自己都合退職の場合の給付制限のしくみ

待期期間7日間はどんな離職理由でも共通

離職理由が自己都合であっても会社都合であっても、まず7日間の待期期間があります。この期間は誰であっても給付の対象にならない共通ルールで、求職申込み後にハローワークが受給資格を確認するための期間です。

給付制限期間は原則2ヶ月(5年間で3回目以降は3ヶ月)

自己都合退職の場合、待期期間の7日間に続けて給付制限期間が設けられます。給付制限期間は原則2ヶ月ですが、過去5年以内に自己都合退職を3回以上繰り返している場合は3ヶ月に延びます。この給付制限が明けるまでは、高年齢求職者給付金の一時金を受け取ることができません。

給付制限中にやってはいけないこと

給付制限期間中でも、求職活動そのものは続ける必要があります。ただし、給付制限は「自己都合で辞めた人にすぐには支給しない」という趣旨の制度なので、この期間に転職先が決まった場合は、その時点でハローワークへの求職申込みが取り下げとなり、給付そのものが発生しません。給付制限が明ける前に離職期間中の求人応募や職業訓練の受講状況などをハローワークの窓口で確認しておくと、手続きがスムーズです。

給付制限があっても受給額は減らない

給付制限は「支給開始が遅れる」だけ

ここが最も誤解されやすいポイントです。給付制限は受給額を減らす制度ではなく、あくまで支給開始のタイミングを遅らせる制度です。給付制限期間が明けたあと、失業の認定を受けられれば、30日分または50日分の一時金は自己都合・会社都合を問わず満額支給されます。「自己都合だから金額が減る」という誤解が多いため、この点は特に強調しておきたいポイントです。

受給できる日数(30日分・50日分)の考え方

受給できる日数は退職理由ではなく、被保険者であった期間の長さで決まります。自己都合退職でも被保険者期間が1年以上あれば50日分の対象になります。退職理由と受給日数を混同しないよう注意しましょう。

給付制限中にアルバイトしても大丈夫?

給付制限期間中の短時間の就労が直ちに問題になるわけではありませんが、就労の内容や収入によっては求職活動の状況やその後の認定に影響する可能性があります。不安がある場合は、就労を始める前にハローワークの窓口で申告方法を確認しておくと安心です。

自己都合退職と会社都合退職で何が変わるか比較

項目 自己都合退職 会社都合退職(特定受給資格者等)
待期期間 7日間 7日間
給付制限 原則2ヶ月(3回目以降3ヶ月) 原則なし
受給できる一時金の額 変わらない(30日分または50日分) 変わらない(30日分または50日分)
支給されるまでの目安期間 待期+給付制限後 待期のみで比較的早期

特定受給資格者・特定理由離職者に該当すると給付制限なし

倒産・解雇など会社都合による離職者(特定受給資格者)や、正当な理由のある自己都合退職と認められる特定理由離職者に該当する場合は、給付制限が課されません。退職理由によっては「自己都合」の形式であっても実質的に給付制限が外れるケースがあるため、離職票に記載された離職理由をよく確認することが重要です。

自己都合でも給付制限が短縮・免除されるケース

自己都合退職であっても、公共職業訓練等を受講する場合は給付制限が解除されることがあります。該当しそうな場合は、退職前後の早い段階でハローワークに相談しておくと選択肢が広がります。

高年齢求職者給付金を自己都合退職で受け取るまでの流れ

ステップ1:離職票の受け取りとハローワークでの求職申込

退職後、会社から離職票が届いたら、住所地を管轄するハローワークで求職の申込みと受給資格の申請を行います。

ステップ2:受給資格の決定と待期7日間

ハローワークで受給資格が決定すると、そこから7日間の待期期間が始まります。

ステップ3:給付制限期間の経過

自己都合退職の場合、待期期間の終了後に原則2ヶ月(該当者は3ヶ月)の給付制限期間が続きます。

ステップ4:失業認定日と一時金の振込

給付制限期間が明けたあとの失業認定日に、求職活動の実績等を確認のうえ、一時金がまとめて振り込まれます。

自己都合退職で申請する前に知っておきたい注意点

退職理由の伝え方で給付制限の有無が変わることがある

離職票に記載される離職理由は、会社側の記載と本人の認識が食い違うことがあります。実質的に会社都合に近い事情(人員整理・契約更新の拒否など)がある場合は、ハローワークの窓口で離職理由の判定について相談してみることをおすすめします。判定次第で給付制限の有無が変わる可能性があります。

65歳になる前後での手続きの違いに注意

離職日の時点で64歳か65歳かによって、適用される給付の種類(基本手当か高年齢求職者給付金か)が変わります。誕生日をまたぐタイミングで退職を検討している場合は、事前にハローワークで確認しておくと安心です。

よくある質問(FAQ)

Q1. 自己都合退職でも待期期間はありますか?

はい。自己都合・会社都合を問わず、受給資格決定後の7日間は共通の待期期間として設けられています。

Q2. 給付制限中に再就職が決まったらどうなりますか?

給付制限が明ける前に就職した場合は、その時点で求職申込みの状態が終了し、高年齢求職者給付金は支給されません。一時金である性質上、再就職後の追加申請もできません。

Q3. 給付制限期間中にハローワークに行かなくていいですか?

給付制限期間中も求職活動を続けることが前提です。認定日の案内などハローワークからの指示に従い、必要な手続きは期間中も行いましょう。

Q4. 会社都合退職に変更してもらうことはできますか?

離職理由は会社が離職票に記載する内容とハローワークの判定によって決まります。実態が会社都合に近い場合は、離職票を提出する際にハローワークの窓口で相談し、判定を求めることが可能です。

Q5. 高年齢求職者給付金はいつ振り込まれますか?

給付制限期間が明けたあとの失業認定日に手続きが行われ、認定後、通常は数日〜1週間程度で指定口座に振り込まれます。振込までの具体的な日数は管轄のハローワークによって多少異なるため、窓口で確認しておくと確実です。

Q6. 給付制限は自己都合と会社都合で日数が違いますか?

はい。会社都合退職(特定受給資格者等)は原則として給付制限がありません。自己都合退職は原則2ヶ月、過去5年以内に3回以上自己都合退職をしている場合は3ヶ月に延びます。

Q7. 65歳を超えてから初めて失業した場合も同じですか?

離職時点で65歳以上であれば、初めての離職であっても高年齢求職者給付金の対象です。自己都合退職であれば同様に給付制限の対象になります。

まとめ

  • 自己都合退職でも高年齢求職者給付金はもらえる。もらえないのではなく、支給開始が遅れるだけ
  • 自己都合退職には7日間の待期期間に加え、原則2ヶ月(過去5年で3回目以降は3ヶ月)の給付制限がある
  • 給付制限があっても受給額(30日分・50日分)は減らない
  • 会社都合や特定理由離職者に該当すれば給付制限なしで受け取れる可能性がある
  • 離職理由に疑問がある場合や公共職業訓練の受講を検討している場合は、退職前後の早い段階でハローワークの窓口に相談するのが最短ルート

まずは離職票の内容を確認し、管轄のハローワークで求職申込みと受給資格の相談から始めることをおすすめします。