65歳以上で会社を辞めたとき、通常の失業手当(基本手当)の代わりに受け取れるのが高年齢求職者給付金です。
申請にはいくつかの書類が必要ですが、「何を揃えればいいのか」「どこで入手できるのか」と迷う方は少なくありません。書類が足りずに窓口で出直し、なんてことになると二度手間です。
この記事では申請に必要な書類を全6種類、入手方法の注意点とともに解説します。さらにハローワーク窓口での手続きの流れ、よくある疑問もまとめました。申請前のチェックリストとしてご活用ください。
申請に必要な書類は全6種類
高年齢求職者給付金を受け取るには、離職後に住所を管轄するハローワークで求職申し込みと受給資格の申請を行います。その際に必要な書類は以下の6種類です。
| # | 書類名 | 主な入手先 |
|---|---|---|
| ① | 雇用保険被保険者離職票(1・2) | 元の勤務先から郵送 |
| ② | 雇用保険被保険者証 | 退職時に勤務先から返却 |
| ③ | マイナンバー(個人番号)確認書類 | 自分で準備 |
| ④ | 本人確認書類(身元確認書類) | 自分で準備 |
| ⑤ | 証明写真(3cm × 2.5cm)2枚 | 写真館・証明写真機 |
| ⑥ | 本人名義の預金通帳またはキャッシュカード | 自分で準備 |
それぞれ詳しく見ていきましょう。
① 雇用保険被保険者離職票(1・2)
離職票は、退職の事実と基本手当日額の算定に必要な賃金情報が記載された書類です。「離職票-1」と「離職票-2」の2枚で1セットになっています。
- 離職票-1:離職者の個人情報・求職者給付の支給に関する情報が記載
- 離職票-2:直近6か月分の賃金額など、給付額計算のもとになる情報が記載
入手方法:元の勤務先が退職後にハローワークへ雇用保険喪失届を提出し、発行された離職票が本人に郵送されます。
一般的に退職後10日〜2週間程度で届きますが、会社の手続きが遅れると3週間以上かかることもあります。2週間経っても届かない場合は、会社の総務・人事部門に状況を確認しましょう。
② 雇用保険被保険者証
雇用保険に加入していたことを示す証明書です。入社時に会社が預かり、退職時に本人へ返却するのが一般的です。
手元にない場合はまず会社に問い合わせ、それでも見つからない場合は管轄ハローワークで再発行できます。求職申し込み手続きの中で同時申請が可能です。
③ マイナンバー(個人番号)確認書類
個人番号の確認のために必要です。以下のいずれかを持参してください。
| 書類 | 補足 |
|---|---|
| マイナンバーカード(個人番号カード) | 1枚でマイナンバー確認+本人確認が完結 |
| 通知カード(旧様式) | 住所・氏名が住民票と一致していること |
| マイナンバーが記載された住民票の写し | 発行から3か月以内のもの |
マイナンバーカードを持っていれば1枚だけで完結するため、最もスムーズに手続きできます。
④ 本人確認書類(身元確認書類)
マイナンバーカード以外でマイナンバーを確認する場合に、別途必要となります。
- 顔写真付き1点:運転免許証、パスポート、住基カード(写真入り)など
- 顔写真なし2点の組み合わせ:健康保険証+年金手帳、健康保険証+公共料金の領収書 など
マイナンバーカード1枚で手続きするなら、本人確認書類の追加提示は不要です。
⑤ 証明写真(3cm × 2.5cm)2枚
最近3か月以内に撮影した、正面・脱帽・無背景のものを用意してください。
コンビニ併設や駅構内のスピード写真機を利用すると800〜1,000円程度で用意できます。機器でサイズを「3cm×2.5cm」に設定すれば規格通りに撮影できます。
⑥ 本人名義の預金通帳またはキャッシュカード
給付金の振込先口座を確認するために必要です。本人名義であれば銀行・信用金庫・ゆうちょ銀行などほぼどの金融機関でも対応しています。
楽天銀行・PayPay銀行などのネット銀行のキャッシュカードも多くのハローワークで対応していますが、窓口ごとに対応状況が異なる場合があるため、不安な場合は事前に問い合わせておきましょう。
書類の入手・準備時の注意点
離職票が届かない・紛失した場合
退職後2週間以上経っても離職票が届かない場合は、まず元の勤務先に連絡して状況を確認します。会社が雇用保険の喪失届の提出を忘れているケースや、手続きに時間がかかっているケースがあります。
会社に連絡しても解決しない場合は、管轄ハローワークに直接相談できます。会社名・住所・退職日を伝えると、ハローワーク側から会社に確認を取ってもらえることがあります。
また、一部のハローワークでは離職票が後日届く見込みであれば「仮受付」として手続きを進めてくれる場合もあります。「離職票がまだ届いていない」と正直に伝えた上で、窓口に相談してみましょう。
マイナンバーカードがない場合
通知カードと本人確認書類の組み合わせで対応できますが、通知カードは2020年5月以降に廃止されており、住所変更後はそのまま使えない場合があります。引っ越し等で住所が変わっている方は注意が必要です。
住所が現在の住民票と一致しない場合は、市区町村の役場・区役所でマイナンバーが記載された住民票を取得するのが確実です(通常300〜400円程度)。
雇用保険被保険者証を紛失した場合
雇用保険被保険者証の再発行は、管轄ハローワークで申請できます。求職申し込みの手続きと同時に再発行申請も行えるため、紛失していても窓口に来所してから対処できます。
ハローワーク窓口での手続きの流れ
書類が揃ったら、以下の手順でハローワークに申請します。
ステップ1:管轄ハローワークを確認する
申請は自分の住所を管轄するハローワークで行います。管轄は厚生労働省が運営するハローワークインターネットサービス(jsite.mhlw.go.jp)で郵便番号から検索できます。
在職中の職場の管轄ではなく、現住所の管轄であることに注意してください。
ステップ2:求職申し込みと受給資格申請を行う
窓口で書類一式を提出し、求職申し込みと受給資格の申請を同日に行います。
1. 「求職申し込み書」を窓口で受け取り記入する 2. 担当窓口に書類一式を提出する 3. 担当者が離職票の内容や被保険者期間を確認する 4. 「受給資格者のしおり」が交付される(受給資格者証は後日交付の場合あり)
初回訪問は審査・確認のため時間がかかることがあります。午前中の早い時間帯に行くと比較的スムーズです。
ステップ3:失業の認定と給付金の振り込み
受給資格が決定すると、失業認定日が指定されます。指定日にハローワークへ来所し、失業の認定(求職活動の確認など)を受けます。
認定後、概ね1週間程度で指定口座に給付金が振り込まれます。
通常の失業手当と異なり、高年齢求職者給付金は一時金(まとめて支払い)のため、認定日は原則1回で完結します。
申請前に確認しておく受給資格の条件
書類を揃える前に、受給資格があるかどうかを確認しましょう。
受給できる3つの条件
以下をすべて満たす必要があります。
| 条件 | 詳細 |
|---|---|
| 年齢 | 65歳以上であること |
| 雇用保険の加入期間 | 離職日以前1年間に被保険者期間が6か月以上あること |
| 失業状態 | 就職の意志と能力があり、積極的に求職活動をしていること |
申請期限
離職の翌日から1年以内に申請しなければ受給権が消滅します。
書類の準備に時間がかかっていても、1年という期限は決して長くありません。離職票が届いたらできるだけ早めにハローワークに行くことをお勧めします。
受給額の目安
給付額は「基本手当日額 × 給付日数」で計算されます。
- 被保険者期間が1年未満:基本手当日額の30日分
- 被保険者期間が1年以上:基本手当日額の50日分
基本手当日額は直近6か月の賃金をもとに計算されます。受給額の詳しい計算方法は「高年齢求職者給付金はいくらもらえる?計算シミュレーションと受給額の目安」を参照してください。
よくある質問(FAQ)
Q1. 高年齢求職者給付金には確定申告が必要ですか?
不要です。 高年齢求職者給付金は非課税のため、確定申告の対象になりません。ただし、給付金以外の収入(年金・パート収入など)がある場合は、それぞれの収入に応じた申告が必要になることがあります。
Q2. 離職票が届くまでどのくらいかかりますか?
一般的に退職後10日〜2週間程度が目安です。会社が喪失届を提出 → ハローワークが離職票を発行 → 会社経由で本人に郵送、という流れのため数日のタイムラグがあります。1か月経っても届かない場合は、会社またはハローワークへ確認しましょう。
Q3. 65歳定年退職でも自己都合扱いになりますか?
定年退職は「定年」という独立した区分で扱われます。高年齢求職者給付金は会社都合・自己都合・定年による給付日数の差がないため、離職理由によって受給額が変わることはありません。
Q4. アルバイトをしながら受給できますか?
65歳以上の場合、一定の条件のもとでアルバイト・非常勤勤務をしながら高年齢求職者給付金を受け取れる可能性があります。ただし、1週間の所定労働時間が20時間以上になると新たに雇用保険に加入する義務が生じる場合があります。個別の状況はハローワーク窓口に確認することをお勧めします。
Q5. 待期期間(7日間)はありますか?
あります。 通常の失業手当と同様に、受給資格決定日から7日間の待期期間が設けられています。この7日間は給付金が支給されません。自己都合退職の場合はさらに給付制限期間が加算されることがあるため、窓口で確認しましょう。
Q6. 申請期限(1年)を過ぎてしまったらどうなりますか?
残念ながら受給権が消滅します。期限を過ぎると一切受け取れなくなるため、離職票が手元に届いたら速やかに申請手続きを行うことが大切です。「書類の準備が面倒だから後でいいや」と先延ばしにしていると取り返しがつかない事態になることがあります。
Q7. 離職票の代わりに退職証明書でも申請できますか?
できません。 退職証明書は会社が独自に発行するもので、給付額計算に必要な賃金記録が記載されていません。離職票(1・2)は申請の必須書類です。退職証明書と離職票は別物であることを覚えておきましょう。
Q8. 複数の会社を掛け持ちしていた場合、どの離職票が必要ですか?
2022年1月以降、65歳以上の「高年齢被保険者」は複数の事業所での雇用保険加入(マルチジョブホルダー制度)が可能になりました。この制度を利用していた場合は給付金の扱いが通常と異なる可能性があるため、どの離職票が必要かを含めてハローワーク窓口に確認しましょう。
まとめ
高年齢求職者給付金の申請に必要な書類は以下の6点です。
- 離職票(1・2):退職後10〜14日で郵送。遅延時は会社またはハローワークへ
- 雇用保険被保険者証:退職時に会社から返却。紛失はハローワークで再発行可
- マイナンバー確認書類:マイナンバーカード1枚が最もスムーズ
- 本人確認書類:マイナンバーカードがない場合に追加で必要
- 証明写真(3cm × 2.5cm)2枚:最近3か月以内撮影のもの
- 本人名義の預金通帳またはキャッシュカード:振込口座確認用
申請期限は離職翌日から1年以内と決まっています。書類が揃い次第、早めに管轄ハローワークへ足を運びましょう。
申請期限や窓口での手続きの詳細は「高年齢求職者給付金の申請期限はいつまで?手続き窓口と申請の全手順」も併せてご確認ください。
*制度の内容・手続き方法は改正によって変わる場合があります。最新の情報はお近くのハローワーク窓口または厚生労働省の公式ウェブサイトでご確認ください。*