求人申込書の賃金欄の書き方|記入例とよくある間違い【ハローワーク提出用】

「ハローワークの求人申込書、賃金欄って結局どう書けばいいの?」——事業主の方から最も多くいただく質問のひとつです。月給制・時給制・日給制で書き方が変わり、固定残業代や各種手当の記載漏れがあると、ハローワークから差し戻されることもあります。この記事では、求人申込書の賃金欄の正しい記入方法を、ケース別の記入例つきで解説します。さらに、応募が集まりやすい金額設定のポイントもあわせてご紹介します。

まずは結論:賃金欄で押さえるべき3つのポイント

求人申込書の賃金欄でやるべきことはシンプルです。

1. 基本給と手当を分けて書く(合算記載はNG) 2. 「a + b」形式で下限〜上限を示す(例:月給20万円〜25万円) 3. 固定残業代を含む場合は時間数と金額を必ず明記する

この3点さえ押さえておけば、ハローワークからの差し戻しはほぼ防げます。あとは求職者にどう映るかという「見せ方」の問題です。

求人申込書の賃金欄の構成を知っておこう

賃金欄は大きく分けて以下のブロックで構成されています。

項目 記載内容
賃金形態 月給/日給月給/日給/時給 から選択
基本給(a) 税込み・手当を除いた金額
定額的に支払われる手当(b) 役職手当・資格手当・固定残業代など
その他の手当(c) 通勤手当・住宅手当・家族手当など
賃金締切日/賃金支払日 例:月末締め・翌月25日払い
昇給/賞与 有無・金額・回数

求人票として公開されるのは主にa+bで算出される「賃金月額」です。求職者が最初に目にする数字なので、ここの作り方で応募数が大きく変わります。

賃金形態の選び方

  • 月給制:欠勤しても給与が変わらない完全月給。管理職や正社員に多い
  • 日給月給制:月給だが、欠勤分は控除される。一般的な正社員はこちら
  • 日給制:1日いくらで計算。建設業など現場仕事に多い
  • 時給制:パート・アルバイト・契約社員などに多い

ハローワークでは「日給月給」を採用する企業が大半ですが、求人票上は「月給」と表記されることが多いです。

【ケース別】賃金欄の記入例

実際の記入パターンを、よくある雇用形態別に見ていきましょう。

ケース1:正社員(月給制)の場合

たとえば「基本給20万円、役職手当2万円、通勤手当実費」で募集する場合は以下のように書きます。

“` 賃金形態:月給 基本給(a):200,000円〜250,000円 定額的に支払われる手当(b): 役職手当 20,000円 合計(a+b):220,000円〜270,000円 その他の手当(c): 通勤手当(実費・上限月額20,000円) “`

ポイントは「下限〜上限」を必ず示すこと。上限だけ書くと、入社後に「思っていた金額と違う」とトラブルになります。

ケース2:固定残業代(みなし残業)を含む場合

固定残業代を含むときは、労働基準法の観点から記載が義務化されています。

“` 基本給(a):220,000円 定額的に支払われる手当(b): 固定残業手当 40,000円 (月20時間分の時間外労働に対する手当。 20時間を超える時間外労働は別途支給) 合計(a+b):260,000円 “`

必須項目は次の3つです。

1. 固定残業代の金額 2. 何時間分に相当するかの時間数 3. 超過分は別途支給する旨

これらが欠けると、求職者に「サービス残業を強いる会社」と誤解され、応募が激減します。

ケース3:時給制(パート・アルバイト)の場合

“` 賃金形態:時給 基本給(a):1,100円〜1,300円 定額的に支払われる手当(b): 資格手当 50円(保育士資格保有者) その他の手当(c): 交通費(実費・上限日額1,000円) 深夜勤務手当(22時〜翌5時、25%増) “`

最低賃金を下回らないよう、必ず地域の最低賃金額と照らし合わせてください。

ケース4:日給制(建設業など)の場合

“` 賃金形態:日給 基本給(a):12,000円〜15,000円 定額的に支払われる手当(b): なし その他の手当(c): 皆勤手当 月額10,000円 資格手当(玉掛・足場組立等、1資格につき月額3,000円) “`

日給制の場合は「月にいくらになるか」が求職者には分かりにくいので、想定月収(22日勤務時の月額換算)を「特記事項」に書いておくと親切です。

やってはいけない!賃金欄でよくある間違い

ハローワークから差し戻されたり、応募が集まらない記載パターンを紹介します。

間違い1:基本給と手当を合算して書く

「月給25万円(諸手当込み)」のような書き方はNGです。求職者が手取りを計算できず、入社後に「基本給がこんなに低いとは思わなかった」と離職につながります。

間違い2:固定残業代の時間数を書かない

「月給25万円(固定残業代含む)」だけでは情報不足。何時間分の固定残業代かを必ず明記してください。

間違い3:「経験により応相談」だけで金額を書かない

賃金欄は必ず具体的な金額レンジを書きます。「応相談」だけだと求人票として成立せず、ハローワーク窓口で差し戻されます。

間違い4:上限を高く設定しすぎる

「月給20万円〜50万円」のように上限を高く設定すると、求職者は「実際は20万円スタートだろう」と冷めた目で見ます。実際に提示できる現実的なレンジを書くのが鉄則です。

間違い5:通勤手当を「あり」だけで済ます

「通勤手当:有」だけでは不十分。実費か定額か、上限額はいくらかを必ず明記しましょう。

応募が集まる賃金欄の作り方【採用担当目線】

ここからは、ハローワークの求人を実際に応募につなげるための「見せ方」の話です。

同業他社の相場を必ず確認する

ハローワークインターネットサービスで、同じ職種・地域の求人を検索し、賃金レンジを確認しておきましょう。相場より1万円低いだけで応募数は半減するというのが採用業界の通説です。

下限額を「世間に出して恥ずかしくない金額」に設定する

求人票で目立つのは下限額です。求職者は下限額をベースに「自分はここからスタートだな」と考えます。下限を相場並みに設定し、「経験者は上限まで考慮します」と特記事項で補足するのが効果的です。

「賃金以外の魅力」も特記事項で補強する

賃金額で勝てない場合は、以下のような要素を特記事項欄でアピールします。

  • 年間休日数(120日以上は強い武器)
  • 退職金制度の有無
  • 賞与の実績(「昨年度実績:年2回・計3.5か月分」など具体的に)
  • 各種手当(住宅手当・家族手当・資格手当)の実額
  • 残業時間の実績(「平均月10時間以内」など)

求職者は賃金額だけで判断するわけではなく、年収ベース・福利厚生込みで比較しています。

賃金欄を書き終わったあとのチェックリスト

提出前に以下を確認しましょう。

  • [ ] 基本給と手当が分けて書かれているか
  • [ ] 下限〜上限のレンジが明示されているか
  • [ ] 固定残業代がある場合、金額・時間数・超過分の扱いが書かれているか
  • [ ] 最低賃金を下回っていないか
  • [ ] 通勤手当・住宅手当などの諸手当が具体的に書かれているか
  • [ ] 賞与・昇給の有無と実績が記載されているか
  • [ ] 賃金締切日・支払日が明記されているか

よくある質問(FAQ)

Q1. 基本給と手当を分けずに「月給25万円」だけで書いてもいいですか?

A. 推奨されません。求人申込書のフォーマット上、基本給(a)と定額手当(b)は分けて記載する欄が用意されています。合算記載だと求職者が労働条件を正しく把握できず、ハローワーク窓口で書き直しを求められる場合もあります。

Q2. 固定残業代の時間数はどれくらいが妥当ですか?

A. 一般的には月20〜45時間以内が相場です。45時間を超えると36協定の特別条項が必要となり、求職者にも「ブラック企業では?」と警戒されやすくなります。

Q3. 賃金欄を書き間違えた場合、訂正できますか?

A. 提出後であっても、ハローワーク窓口で訂正・再提出が可能です。すでに公開されている求人票も差し替え対応してもらえます。詳しくは関連記事の「求人申込書を間違えた時の訂正・再提出の手順」をご参照ください。

Q4. 試用期間中の賃金は別に書く必要がありますか?

A. はい、試用期間中に賃金条件が変わる場合は必ず別途明記してください。「試用期間3か月・期間中は時給1,000円」のように、期間と金額を具体的に書きます。記載がないと、本採用後と同条件として扱われます。

Q5. 賞与「あり」と書きたいが、業績により支給できない年もあります。どう書けばいいですか?

A. 「賞与あり(業績により変動・前年度実績○か月)」のように、変動する旨と過去実績を併記するのが望ましいです。「あり」だけだと求職者は「必ずもらえる」と期待し、不支給の年にトラブルになる可能性があります。

Q6. 賃金欄の金額に消費税は含めますか?

A. 賃金は労働の対価であり、消費税の課税対象外です。賃金欄には税抜き・税込みの区別なく、額面(社会保険料・所得税控除前の金額)を記載します。

Q7. 歩合給・成果報酬型の場合はどう書けばいいですか?

A. 最低保証額がある場合は「基本給○円+歩合給(売上の○%)」のように記載し、最低保証額を下限として明示してください。完全歩合制(フルコミッション)の場合は、労働基準法上、固定給がゼロは認められないため、必ず最低保障額を設けて記載する必要があります。

まとめ|賃金欄は「正確さ」と「現実感」が命

求人申込書の賃金欄で押さえるべきポイントを再掲します。

  • 基本給と手当を必ず分けて記載する
  • 下限〜上限のレンジを具体的に示す
  • 固定残業代は金額・時間数・超過分の扱いをセットで書く
  • 最低賃金を下回らないよう要確認
  • 上限を盛りすぎず、下限額を相場並みに設定する

賃金欄は求人票の中で求職者が最も注視するポイントです。正確に、そして現実的に書くことが、結果的にミスマッチのない採用につながります。書き方に迷ったら、最寄りのハローワーク窓口でも書き方のアドバイスを受けられますので、気軽に相談してみてください。

最新の様式や記載要領は、ハローワークインターネットサービスや最寄りのハローワーク窓口で必ずご確認ください。