高年齢求職者給付金はいくらもらえる?計算シミュレーションと受給額の目安

65歳以上で仕事を辞めたとき、受け取れる失業給付が「高年齢求職者給付金」です。通常の失業手当(基本手当)とは計算方法や受給形式がまったく異なるため、「自分の場合いくらになるのか想像できない」という声をよく聞きます。

この記事では、受給額の計算式をステップごとに解説し、月収別のシミュレーション結果を一覧で紹介します。手元で概算を試算できるようになることがゴールです。

高年齢求職者給付金とは――まず結論から

高年齢求職者給付金は、65歳以上の雇用保険被保険者が離職した際に受け取れる「一時金」です。

通常の失業手当との最大の違いは「一括払い」である点。認定日に繰り返しハローワークへ通う必要がなく、受給額は基本手当日額 × 給付日数(30日または50日)を一度にまとめて受け取ります。

比較項目 高年齢求職者給付金 通常の失業手当(基本手当)
対象年齢 65歳以上 65歳未満
支給方式 一時金(一括) 認定日ごとに分割
給付日数 30日分または50日分 90〜360日分
求職活動実績 不要 必要(原則2回以上/28日)
老齢年金との併給 可(年金は停止されない) 原則、老齢年金は支給停止

年金を受け取りながら働いていた方が退職する場合、年金を止めずに給付金だけ受け取れる点は大きなメリットです。

受給の条件

以下の3つをすべて満たす必要があります。

1. 65歳以上で高年齢被保険者として雇用保険に加入していた 2. 離職日以前の1年間に、被保険者であった期間が通算6か月以上ある 3. ハローワークに求職申込みをし、就職する意思と能力がある

「就職する意思がある」のが条件ですが、実際にはハローワークに1回行って手続きすれば問題ありません。2回目以降の認定は不要です。

65歳の誕生日で受給できる給付の種類が変わる

離職日が65歳の誕生日の前日以前であれば、通常の基本手当(最大360日)の対象になります。65歳の誕生日以降の離職が「高年齢求職者給付金」の対象です。誕生日の前後で給付内容が大きく変わるため、退職時期を検討する際の参考にしてください。

受給額の計算方法――4ステップ

ステップ1:賃金日額を計算する

賃金日額 = 離職前6か月の賃金総額 ÷ 180

「賃金総額」は離職前6か月分の給与の合計です。賞与(ボーナス)は原則として含みません。

計算例:月給25万円の場合 250,000円 × 6か月 ÷ 180日 = 賃金日額 8,333円

ステップ2:基本手当日額を算出する

基本手当日額 = 賃金日額 × 給付率

給付率は賃金日額に応じて段階的に変わります。賃金が低いほど高い率が適用される仕組みです(最高80%、最低45%程度)。

賃金日額の目安 給付率の目安
〜約2,800円 80%
約2,800円〜約5,200円 60〜80%(段階的に減少)
約5,200円〜約12,900円 50〜60%(段階的に減少)
約12,900円〜約16,000円 45〜50%(段階的に減少)
約16,000円超 45%(ただし上限額あり)

月給25万円(賃金日額8,333円)の場合、給付率はおよそ54〜57%程度になります。

ステップ3:被保険者期間で給付日数を確認する

被保険者期間 給付日数
1年未満 30日分
1年以上 50日分

この「被保険者期間」は、今の職場に限らず通算で計算されます。過去に雇用保険に加入していた期間が連続していれば合算されます。ただし、間が1年以上空いた場合はリセットされます。

1年を超えているかどうかで受給額がほぼ倍変わるため、退職前に必ず確認しましょう。雇用保険の加入履歴は、ハローワークで「雇用保険被保険者証」をもとに確認できます。

ステップ4:受給額を計算する

受給額 = 基本手当日額 × 給付日数(30日 or 50日)

計算シミュレーション(月収別)

給付率の正確な計算式は毎年改定される可能性があるため、以下はあくまで概算値です。実際の金額はハローワーク窓口で試算してもらうことを強くおすすめします。

ケース1:月収20万円・被保険者期間3年(50日分)

  • 賃金日額:200,000円 × 6 ÷ 180 = 6,667円
  • 給付率:約57%(目安)
  • 基本手当日額:6,667円 × 0.57 ≒ 約3,800円
  • 受給額:3,800円 × 50日 = 約19万円

ケース2:月収30万円・被保険者期間6年(50日分)

  • 賃金日額:300,000円 × 6 ÷ 180 = 10,000円
  • 給付率:約54%(目安)
  • 基本手当日額:10,000円 × 0.54 ≒ 約5,400円
  • 受給額:5,400円 × 50日 = 約27万円

ケース3:月収40万円・被保険者期間10年(50日分)

  • 賃金日額:400,000円 × 6 ÷ 180 = 13,333円
  • 給付率:約47%(目安)
  • 基本手当日額:13,333円 × 0.47 ≒ 約6,267円
  • 受給額:6,267円 × 50日 = 約31万円

ケース4:月収20万円・被保険者期間8か月(30日分)

  • 賃金日額:6,667円
  • 給付率:約57%(目安)
  • 基本手当日額:約3,800円
  • 受給額:3,800円 × 30日 = 約11万4,000円

被保険者期間が1年未満だと給付日数が30日になるため、ケース1と比べて受給額がほぼ半減します。

月収・被保険者期間別の受給額まとめ

月収 被保険者期間 給付日数 受給額(概算)
20万円 1年以上 50日 約19万円
30万円 1年以上 50日 約27万円
40万円 1年以上 50日 約31万円
20万円 1年未満 30日 約11万円
30万円 1年未満 30日 約16万円
40万円 1年未満 30日 約19万円

月収が高いほど受給額の絶対値は大きくなりますが、給付率が逓減するため増加幅は緩やかです。月収20万円の人と40万円の人とで受給額は2倍にはならない点が特徴です。

申請の流れ

必要書類

  • 雇用保険被保険者離職票(1・2)
  • 個人番号確認書類(マイナンバーカードなど)
  • 身元確認書類(運転免許証など)
  • 証明写真(3cm×2.5cm)2枚
  • 印鑑
  • 本人名義の普通預金通帳またはキャッシュカード

手続きの流れ

1. 離職票を受け取る(退職後、会社から郵送。通常10日〜2週間程度) 2. 住所地を管轄するハローワークへ行く 3. 求職申込みと受給手続きを同時に行う(窓口で書類を提出) 4. 7日間の待機期間を経て口座に振込(申請から通常2〜3週間程度)

通常の失業手当と異なり、認定日に繰り返し通う必要はありません。手続きは基本的に1回です。

よくある質問

Q. 給付金をもらいながら老齢年金も受け取れますか?

はい、受け取れます。高年齢求職者給付金は老齢年金と同時に受給できます。通常の失業手当(基本手当)は受給中に老齢年金が停止されますが、高年齢求職者給付金にはその制限がありません。

Q. パートや短時間労働でも受け取れますか?

週20時間以上の労働で雇用保険に加入しており、被保険者期間の条件(離職前1年間に通算6か月以上)を満たしていれば受け取れます。

Q. 被保険者期間が6か月未満だと受け取れませんか?

受け取れません。6か月未満の場合は不支給となります。ただし、前の職場での加入期間が通算できる場合もあるため、ハローワークで確認することをおすすめします。

Q. 自己都合退職でも受け取れますか?

受け取れます。高年齢求職者給付金には通常の失業手当のような「給付制限(自己都合退職後2〜3か月の待機)」がありません。自己都合でも7日間の待機期間のみで支給されます。

Q. 申請期限はありますか?

受給期限は離職日の翌日から1年間です。1年を過ぎると受け取れなくなります。離職票が届いたら早めに手続きしましょう。

Q. 再就職後に返還が必要になりますか?

いいえ。高年齢求職者給付金は一時金のため、受け取り後に再就職しても返還義務はありません。通常の失業手当と異なり再就職手当(就職祝い金)のような追加給付もないため、受給後に就職活動を始めるのが一般的な流れです。

Q. 離職票が届かない場合はどうすればいいですか?

まず会社の人事・総務に連絡してください。それでも対応されない場合は、ハローワークに「雇用保険被保険者資格喪失確認請求書」を提出することで、会社を介さずに手続きを進められます。

まとめ

  • 高年齢求職者給付金は65歳以上が対象の一時金型失業給付
  • 受給額の計算式は「基本手当日額(賃金日額×給付率)× 給付日数(30日 or 50日)
  • 被保険者期間1年以上で50日分、1年未満で30日分(1年の壁が重要)
  • 月収30万円・被保険者期間1年以上なら概算で約27万円が目安
  • 老齢年金と同時受給できるのが最大のメリット
  • 自己都合退職でも給付制限なし(7日待機のみ)
  • 申請期限は離職日翌日から1年以内

受給額の正確な数字はハローワークの窓口で試算してもらえます。離職票が届いたら早めに管轄のハローワークへ足を運びましょう。

通常の失業手当(基本手当)との詳しい違いや、どちらが有利かの比較は60歳以降に会社を辞めたら?高年齢求職者給付金と失業手当の違いを徹底比較もあわせてご覧ください。