退職後、「失業保険をもらいながら配偶者の扶養に入れるの?」と疑問に思う方は多いです。
結論から言うと、失業保険の基本手当日額が3,612円以上の場合、受給中は扶養に入れません。ただし、給付制限期間中や待機期間中は扶養に入れるケースがあります。
この記事では、扶養に入れる期間・入れない期間を整理し、最もお得な手続きの進め方を解説します。
【結論】日額3,612円以上なら受給中は扶養に入れない
配偶者の健康保険の扶養に入るための条件の一つに、年間収入130万円未満というルールがあります。
失業保険の基本手当は「収入」として扱われるため、以下の計算で判定されます。
基本手当日額 × 360日 ≥ 130万円 → 扶養に入れない
つまり、日額3,612円以上(130万円÷360日)の場合、受給中は扶養の条件を満たしません。
| 基本手当日額 | 年間換算 | 扶養 |
|---|---|---|
| 3,611円以下 | 約130万円未満 | 入れる |
| 3,612円以上 | 約130万円以上 | 入れない |
参考として、基本手当日額の目安は離職前の月収の50〜80%を30で割った額です。月収16万円程度でも日額3,612円を超えることが多いため、多くの方は受給中に扶養に入れないのが実情です。
扶養に入れる期間・入れない期間を整理
退職から再就職までの流れの中で、扶養に入れるタイミングは以下の通りです。
| 期間 | 扶養 | 説明 |
|---|---|---|
| 退職日〜ハローワーク手続き前 | 入れる | まだ受給していない |
| 待機期間(7日間) | 入れる | 手当が支給されない期間 |
| 給付制限期間(自己都合退職の場合) | 入れる | 手当が支給されない期間 |
| 基本手当の受給中 | 入れない(日額3,612円以上の場合) | 手当が「収入」として算定される |
| 受給終了後 | 入れる | 収入がなくなるため |
ポイント:自己都合退職は「一時的に扶養に入る」ができる
2025年の制度改正で自己都合退職の給付制限は1ヶ月に短縮されましたが、それでも退職日から受給開始まで約1ヶ月半〜2ヶ月の空白があります。
この期間は扶養に入れるため、「退職→扶養加入→受給開始で扶養脱退→受給終了で扶養再加入」という切り替えが可能です。
扶養の切り替え手続きの流れ
Step 1: 退職後すぐ — 扶養に加入
1. 配偶者の勤務先に「被扶養者異動届」を提出 2. 必要書類: 離職票のコピー、退職証明書、マイナンバーなど 3. 退職日の翌日から扶養に入れるよう手続き
Step 2: 失業保険の受給開始 — 扶養を脱退
1. 受給開始日に合わせて配偶者の勤務先に脱退届を提出 2. 国民健康保険と国民年金に自分で加入する手続きが必要 3. 市区町村の窓口で手続き(届出期限は14日以内)
Step 3: 受給終了後 — 再び扶養に加入
1. 受給終了の証明(雇用保険受給資格者証の写しなど)を添えて扶養加入の届出 2. すぐに再就職する場合は、就職先の社会保険に加入するため不要
注意:切り替えが面倒なら「扶養に入らない」選択もあり
扶養の加入・脱退を短期間で繰り返すのは手続きが煩雑です。特に給付制限期間が1ヶ月に短縮されたことで、扶養に入れる期間が短く、手続きの手間に見合わない場合もあります。
その場合は退職後すぐに国民健康保険+国民年金に加入し、受給終了後(または再就職後)に切り替えるという選択もあります。
国民健康保険料はいくら?
扶養に入れない期間は国民健康保険に加入する必要があります。保険料の目安は以下の通りです。
- 国民健康保険料: 前年の所得に基づいて計算。自治体によって異なるが、前年の年収300万円の場合で月1.5〜2.5万円程度
- 国民年金保険料: 月16,980円(2024年度)
退職による収入減の場合は、国民健康保険料の減免制度が使える場合があります。会社都合退職(特定受給資格者)の場合は、前年所得を30/100として算定する軽減措置があります。
よくある質問(FAQ)
Q1. 失業保険の基本手当日額はどこで確認できますか?
雇用保険受給資格者証に記載されています。ハローワークで受給手続きをした際に交付される書類です。手続き前に目安を知りたい場合は、離職前6ヶ月の給与明細から概算できます。
Q2. 60歳以上の場合は基準が違いますか?
はい。60歳以上の場合は年間収入180万円未満が扶養の基準になります。日額換算で5,000円未満であれば受給中も扶養に入れます。
Q3. 扶養に入ったまま失業保険を受給したらどうなりますか?
遡って扶養を取り消される可能性があります。 その場合、扶養期間中の医療費を自己負担で返還し、国民健康保険料を遡って支払うことになります。必ず正しいタイミングで切り替えましょう。
Q4. 配偶者の会社の健康保険組合によってルールが違うことはありますか?
あります。 協会けんぽの基準は上記の通りですが、企業の健康保険組合は独自の基準を設けている場合があります。必ず配偶者の勤務先の健保組合に確認してください。
Q5. 失業保険を受給しないで扶養に入り続けることはできますか?
可能です。 失業保険の受給は権利であり義務ではありません。ただし、失業保険の受給期限は退職日の翌日から1年間です。扶養に入り続けて受給しないまま期限を過ぎると、受給権が消滅します。
まとめ
- 基本手当日額が3,612円以上なら受給中は扶養に入れない
- 待機期間・給付制限期間中は扶養に入れる
- 「扶養加入→脱退→再加入」の切り替えは可能だが手続きが煩雑
- 国保の減免制度も確認しておくとお得
- 健保組合によってルールが異なるため、配偶者の勤務先に必ず確認
次のステップ: まず配偶者の勤務先の健康保険組合に、失業保険受給中の扶養ルールを確認しましょう。ハローワークで受給手続きをする際に、基本手当日額を確認して扶養の切り替えタイミングを決めるのがスムーズです。
※健康保険の被扶養者の認定基準は保険者によって異なります。この記事は協会けんぽの一般的な基準に基づいています。詳細は加入する健康保険組合にご確認ください。